第9話 悪霊の俺とりお
「暫く、この娘に付ける。上手くやれ!」
権現は俺にそう言うと俺をりおにあてがった。
権現の「上手くやれ!」とは、つまり「命を取れ!」と言う事を指す。
権現は、りおには、俺を仏様に返し、そうして良くなりまた戻ってくる。
そう、話した。
そんな真っ赤な嘘も、りおは見抜けず、権現の言葉を信じてしまう。
騙されるな!
違う!
何度もそう言ってやりたいのに、全く言えない。
俺は操られながらも、りおの側にいく事に。
心では、
「会いたかった。」「身体は大丈夫なのか。」「守ってやりたい」
沢山、話したい事、泣かせたことを謝りたい。
様々な思いがあるのに、俺の口から出るのは、憎まれ口しか出ない。。
そんな俺を、りおは優しく受け入れる。
暫くは権現の力も緩められた俺。
しかし、監視は付けられ権現からは常に見張られていた。
何にも知らないりお。
勿論、俺との記憶なんてない。
りおからは、俺は只の因縁、悪霊だった人がまともな人に戻った。そう解釈していたに過ぎなかった。
そんな、全くの見ず知らずの只の男をりおは優しく接する。
この時に、りおが付けてくれたのが
「おっちゃん」と言うあだなだった。
りおから感じれば、まさに俺は
「おっちゃん」だったのかもしれない。
俺達は、こうして一緒に過す事に。
初めはぎこちない会話も次第に自然になり、りおは俺に心を開くようになっていく。
俺は操られながらも、りおに素直に愛を伝えていった。
俺の言動、行動、何をするにも
言葉ではなく、気持ちをそのまま、りおに伝えた。
只々愛しい。
そんな想い。
りおはその俺の気持ちに応えるかのように俺に好意を持ち始め、俺と、りおはまるで恋人のようになっていく。
それは、あの遠き昔の俺達を思い出させ、何度も俺は涙する。
記憶もないのに。。。
こんな自分を尚も慕うのか。。。
りおからこの時に貰った沢山の愛は、後に俺の中で、宝物となる。
そんな時間が永く続くはずもなく、権現はしだいに、方向転換を始める。
りおの命。ではなく、母親に目を向け始めた。
そう、母親の命を取る事を始めたのだ。
俺は勿論使われる。母親は病を患っており、その病を進行させるのを俺にさせた。
俺は手を入れては、何とか、戻そうと試みるか上手くはいかない。
そうして、あと一歩で母親の命に手をかけそうに最期、なりながらも、ロビンや、父さん達により、阻まれ母親は、霊界の仏様達の元へかえされた。
母親が居なくなり、権現達はこれからりおを叩きのめすつもりだったようだが、父さん達からの攻撃から多大な消失を受け、暫くは、影に身を潜める事に。
勿論、俺も連れて行かれるのだ。
りおはここで全てを知ることになる。
自分は騙されていたのだと。
善だと最後まで信じていたのに、因縁、悪霊だったのだ。
だが、1番傷つけたのはやはり、この俺だった。
恋人のようだった男は実はそうではなく、悪霊だったとわかったからだ。
りおは深く悲しみ、俺はなんとも言えない気持ちになる。。。
りおは俺を憎むことも出来ず、それでも尚、信じたいとしているようだった。
俺は、りおからは消え失せ、完全に気配すらもなくなった。
それでも、俺を探し続けるりお。
俺はロビンの懐の中、ずっと泣いていた。。。
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