第16話

 〖素晴らしいメッセージをありがとうございます。


 今日はわたしの大好きな金曜日♫ 週末はいつだってわたしを幸せにします。仕事も楽しくできました〗


 【どういたしまして。僕も自分自身、心から幸せを感じることができたよ。

 

 まだ僕達の関係は誰にも言わず、秘密にしておいてくれ。後で、これが真のきずなだと理解させて、君の家族や友人を驚かせたい。分かってくれるかな??】


 『僕達の関係』だなんて、まるで恋人同士みたいじゃない! ローランド、ちょっと気が早くな~い?♥


 〖そうですね。その方が良いかもしれません。SNSで話をしただけの見ず知らずの相手なんて、信じる人はほとんどいないでしょうし。仕方ありませんが……。ローランド、あなたのように正直な人の方がまれですよ、きっと〗


 でもぉ、もうすでに何人かには話してるよ。今後、お付き合いすることになったらどうしよう~? って相談したりとか。

 

 会社の同僚のカヨちゃん(仮名)はね、ローランドともっといろんなお話をしてみてって応援してくれてるよ。

 

 え? それは応援してるんじゃなくて、興味本位で楽しんでるだけだって? 

 

 そうちゃん、何言ってんの? ……まあ確かに、『面白そうだから長引かせて』みたいなことも言ってたような……。


 【僕達がネット上で出会ってからしばらく経つね。長い時間、昼も夜もお喋りして。それが見ず知らずの人達から誹謗ひぼう中傷されるのは心外だな。僕は君と互いに意見を交わし続けて君を知ることでしか、自分の幸せを見出みいだせない。今まで真の友人と呼べる人達とは出会えていなかったと思う。君のような人とは】


 ああ、ローランド、やっぱり苦労してきたんだね。


 え? コイツどんだけ友達いねーんだよ? って?


 そうちゃん、酷いこと言わないでよ。きっとローランドは優秀で真面目で努力家だから、周囲の莫迦連中からねたまれたりしてきたんだよ。わたしも理解できる! 経験あるから。


 【怪しい人物ばかりを例に挙げて、ネット上で誰かと知り合うことは危険がともなうと言う人もいる。でも、誓ってもいい。たとえ遠く離れていようとも、僕達の関係は本物だ。僕にとって、君とのやりとりはかけがえのないものになったんだ】


 〖このやりとりがあなたにとって大切なものとなったなら、とても光栄です。わたしにとってもあなたとの会話は、本当に刺激的で興味深くて素晴らしいものだと感じています。ローランド、あなたはいつもわたしの知らないことを教えてくれますから〗


 おだて過ぎ? そんなつもりないって。本心だよ。ローランドと話していると、凄く勉強になることが多いんだから♫


●翌朝

 

 なんて見事なブーケ♥ 二十本のピンクの薔薇とカスミソウがバスケットから溢れそうなほど入ってる! これもきっとローランドが勤めている病院に飾ってあるんだよ。

 

 よし! 今回は『パクリ画像に決まってる』とか言われる前に言ってやったからね! 勝った!

 

 【おはよう。今朝も君が明るい笑顔で一日をスタートできるように。美しく価値のある日となるように。いつも笑顔で!】


 もうこんなに嬉しいことを言われるだけで、自然と笑顔でいられそうだよ。早く返信しよー ヾ(*´∀`*)ノ


 〖おはようございます〗

 

 と、ここでかわいいスタンプを送って……


 〖キレイなお花と美味しいお肉は、どんな時でもわたしを幸せにしてくれます。ありがとうございます〗


 色気がないとか言わないでよ。ちょいちょいユーモアを入れることも大事なんだから。


 【どういたしまして。昨夜はよく眠れた? もう朝ご飯は食べたかな??】


 〖はい。朝食を済ませて、今洗濯中です〗


 【洗濯があまり大変でなければいいね。朝食は何を食べたの??】


 ほら、そうちゃん。何を食べようと大きなお世話だっつーの! こちとら洗濯で忙しいんだよ! とか言わないで。お互い、近況をお話してるだけなんだから。


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