第17話

●数時間後

 

 〖今朝は焼き魚を食べました。洗濯を終えてからウォーキングしました。蒸し暑いですが、風が何となく秋の気配です。稲刈りのシーズンももうすぐですね〗


 ここで季節感を出さなきゃ。近所の田んぼも結構稲穂がれてきてるし、景色の画像と合わせて三枚。


 実るほど こうべを垂れる 稲穂かな


 ……って、誰の俳句だか忘れたけど。


 【それはいい運動だ。君の家は米農家?】


 〖いえ。これは私の近所にある田んぼです。これからスーパーへ買い物に行ってきます〗


 え? 買い物に行くとか、いちいち言うことじゃないって?

 

 言ってもいいじゃん。むしろ、暇な奴だとか思われるのも嫌だし。実際、家事だの買い物だので、それなりに忙しいんだから。


 【何を買うの? 君は運転できるの??】

 

 あ~またまた、そうちゃん。スーパーで買う物なんて、どこの国でも大体決まってんだろ! とかキレないで。


 確かに、スーパーで家や車は普通買わないけどね。

 

 ローランドだってそんなことは分かってると思うよ。他愛もないお喋りをしたいだけだって。


●買い物後

 

 〖運転できますよ。そうでないと、こんなド田舎ではどこにも行けませんし。スーパーでは食料品を買いました。それと、久々にラーメン屋さんでランチしました〗


 野菜スープとミニチャーハンと餃子の画像を送ってあげよっ♪ 

 

 ちなみにね、野菜スープっていうのはめん無しラーメンのことだよ。あのラーメン屋さん、メニューに麵無しラーメンもあるの。いろいろ少しずつ食べたいっていう乙女心を理解してるよね!


 〖野菜たっぷりラーメン(麺無し)とチャーハン、それに餃子です。ラーメン屋は最高です〗


 【こんなお料理、君は自分で作れる?】


 〖そうですね。チャーハンなら作れます。しかし、あとの二つは、出来合いの麺と皮が必要です〗


 正直でしょ~。実際、ラーメンの麺や餃子の皮を自分で作る人はほとんどいないと思うし、常識的な答えだよ。ここで変に『何でもできます!』ってアピールしない方がいいんだよね。


 【なるほど。西洋の料理は作れる?】


 西洋の料理って、どんなのだろうね? 肉料理ぐらいしか思い浮かばない。


 〖西洋料理はあまりよく分かりません。ハンバーグとかステーキとか、フィッシュ&チップスとかでしょうか? もしかしたら、わたしの兄の方が料理は上手かもしれません。彼は作るのも食べるのも大好きで、かなり太っていますし……〗


 【君のお兄さんはそんなに太っているのか。君はとてもスタイルがいいのに。後で会うことができれば、キッチンで僕が君に西洋料理の作り方を教えてあげられるよ。ところで、君は何色が好き?】


 スタイルがいいだなんて、ローランドったら、まるでわたしが裸の画像でも送ったみたいに言って!♥


 それより、好きな色かぁ……。いきなり訊かれると迷うけど、わたしって基本、青系が好きかも。


 〖色は青系が好きです。いつか、あなたに料理を教えてもらえる日を楽しみにしています。あ、あと、医者のあなたから、わたしの兄に忠告してもらえるといいですね。ダイエットをするようにと。ところでローランド、あなたの好きな色は何ですか?〗


 【僕は白と赤が好きなんだ。白は純潔を意味するし、赤は愛情を意味する。君のお気に入りの色に加えてくれると嬉しいな。そうすれば、お互いにピュアな心で想い合うことができるよ】


 そうちゃん、なんかまた言いたげな顔。


 え? じゃあ今までピュアな心じゃないと思ってたのかって?


 もう、いちいち突っ込まないでよ。赤と白も好きになってくれたらいいなっていう、単なるローランドの願望でしょ。


 〖素敵ですね。それを聞くと、わたしも赤と白を好きになれそうです。日本の国旗の色でもありますし。わたしが青を好きなのは、空や海が好きだからです。クリアーで爽快で、見ているだけでリフレッシュできますから〗


 内陸に住んでる分際で、とか言わないで。旅行に行って、青いサンゴ礁の海だって見たことはあるんだから。


 【それは素敵だ。青は直感的知覚の象徴でもあり、インスピレーションや秘めた部分を刺激する色だね。それに、涼んだり落ち着いたりするのにもいい。ところで、君はパーティーとかにはよく行く方?】


 いつものことだけど、なんかローランドって、急な話題の転換が多いね。それだけ、わたしのことをいろいろ知りたいってことだろうけど(⌒∇⌒)♪

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る