第13話
●その夜
〖早い返信をしてくれてありがとうございます。
そう言えば、まだわたしの職場を教えていませんでしたね。ドリームアトリエ(仮)という工場です。後で検索してみてください〗
【君はどのぐらいその会社にいるの?】
〖約六年です。中には三十~四十年間勤めている人達もいます。尊敬しますね〗
【それは凄い。僕も彼らを尊敬する。ところで、今自宅にいる??】
〖はい、本を読んでいます〗
【何の本を読んでるの? 今忙しいかな?】
ほら、そうちゃん。今まさにあんたとのLINEで忙しいよ! とか言わないで。
そりゃあ、読書中だけど、別に急いで読まなきゃいけない本でもないんだし。
〖心霊現象やUFOといったオカルト系の本です。今夜はちょっと忙しく、それに眠いです〗
【じゃあ、早く寝た方がいいね。君が笑顔でlovely nightを過ごせますように】
今、『気持ち悪っ、何がlovely nightだ、この気取り猿!』とか思った?
あっちの人って、何かにつけlovelyってよく使うじゃん。男性でも女性でも。気取ってるわけじゃないよ。自然体なの、自然体。
●翌朝
そうちゃん、また怒ってるの? 莫迦の一つ覚えみたく、毎朝毎朝花の画像送り付けやがって、とか言って。
真っ赤な薔薇の花が三本。とっても綺麗じゃん。綺麗なお花を見て怒るなんて、人格崩壊してるんじゃない?
【今朝も、君のlovely smileのように素晴らしい朝であることでしょう。おはようございます。
よく眠れた? 明るく輝く笑顔で目覚めていればいいな】
またlovelyとか言ってるね。そうちゃん、もう呆れてる?
とりあえず、今時間ないから、返信は後にするわ。
●その夜
〖ローランド、毎朝美しいお花を見せてくれてありがとうございます。朝からとても幸せな気持ちになりますし、それに元気が出ます。
今から夕飯なので、また後で……〗
……って、あれれ? またすぐに返信くれてる。
もぉ~、ローランドったら、夕飯後まで待ち切れないのかなぁ♥ そんなにわたしとお話したいんだね。
【何かと君の支えになってケアができていれば僕は幸せだ。僕は特に君の前では、誠実で寛大で謙虚で正直で、そして理解のある嘘偽りのない人間でありたい。
僕は花が大好きでね。花が美しいのは、受粉の為にあえて魅力的に魅せているからなんだ。花を見ることで、君の脳内ではドーパミンやセロトニン、それにオキシトシンが分泌されて幸福を感じる。
今日はどんな一日だった? 夕飯は何??】
【LINE届いてる?? そこにいる??】
ローランド、ずいぶんせっかちだなぁ~♪ そんなに急かさなくても、ちゃんと返信するのに。
〖今日の仕事は信じられないほどぶっ飛んで忙しかったです。夕飯はシンプルに納豆でした。ローランド、あなたはもしかしたら好きではないかもしれません。でも、とても体にいいんですよ〗
【それはいい。自宅にいる時はリラックスして、体を休めないとね。今夜はもうお風呂に入って、フレッシュになれた??】
え? あんたがひっきりなしに連絡してくるから、こちとらリラックスできねーんだよ、だって?
そうちゃん、そんなこと言わないでよ。ローランドだって、わたしとお話して、リラックスしたいんだよ。
〖まだです。軽くストレッチをしたら入ります。ところで、ウクライナと日本の時差は何時間でしたっけ? 今、そちらはサマータイムですよね?〗
【サマータイム期間は、ウクライナより東京が六時間進んでいるよ。ところでアヤナ、君の写真なんて送ってもらえるかな??】
えー!!!♥ どうしよう!? わたしの写真!? うーん……わたし、写真写りが破滅的なのに……。
どうせあっちの画像だってデタラメだから、広〇すずとか綾瀬はる〇の画像でも送ればいいって?
さすがにそれは駄目だよ。人として。下手したら広〇すずと綾瀬はる〇に訴えられるかもしれないし!
いや、その前にさ、ローランドの自撮り画像がデタラメとか決め付けないでくれる?
〖わたしは写真写りが物凄く悪いので、後でコテコテにメイクをして、もっと良い画像を送ります^^;〗
とりあえずサングラスして、口元もぬいぐるみで隠して、でいーか。
【それは残念。でも、サングラス越しでも、君のセクシーな瞳に魅了されそうだ】
ああ、そうちゃん!
【How has your present material life affected you so far?】
??? なんか辞書で調べたけど、意味がよく分かんないね。そうちゃん、分かる?
うーん、そうちゃんも分かんないか~。
まあいいか、今日は眠いから、もう寝るわ。
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