第27話 好きな百人一首について
百人一首の中には「自然」を詠んだものや「季節の移り変わり」を詠んだものが沢山ありますが、やはり一番面白いのは恋に関するものではないでしょうか。以下の二首なんかおすすめです。
「忍ぶれど 色に出でにけり 我が恋は
物や思うと 人の問うまで」
「恋すてふ 我が名はまだき たちにけり
人知れずこそ 思いそめしか」
意味はそれぞれ
「人に知られないように恋をしていたのに[恋のもの思いですか?』と人に問われるまでに私の思いは顔や表情に出ていたのだなあ」
「恋をしているという私の噂が立ってしまっているようだ、人に知られないように思っていたのになぁ」です。
なかなか良い歌だとは思いませんか?和歌の優劣を決める「歌合」で「忍ぶ恋」をテーマに詠まれた二首で、軍配は「忍ぶれど」の方に上がっています。
「忍ぶ恋」だが、「バレてしまった恋」。そのバレ方は「人に直接聞かれる」ものと「噂で知る」。恐らく、前者の方が物思いでぼんやりとしている中で、急に「物や思う?」と聞かれて現実に引き戻されている感じが表現されていて高評価なのだと私は理解しています。
話は私の学校の話になりますが、ある人がある人を好きなのか、ナンパ同然で何回も声をかけているのを見ると「こんなんじゃない」と思ってしまいます。
一方、ある人がある人を想っていて、自然と目で追ってしまっているのに目が合うとスッと視線を逸らしてしまうのを見たりすると「物や思う?」と聞いて相談の一つでも乗ってあげたくなるものです。
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