第12話 逸話集その三 源氏の意地

時代は平清盛を頭とする平氏政権絶頂の時、源氏はほとんど息をしていませんでしたが、源頼政という人物は平治の乱(源氏と平氏が闘った戦、平氏が勝った)で源氏ながら源氏を裏切り、平氏政権下でおこぼれをもらっていました。人々は頼政のそんな姿を見て「犬四位よ、平氏の犬よ」と馬鹿にしたそうです。(四位とは官位の中の一つのことで正一位が一番高く、従一位、正二位、従二位……と下がっていきます)

が頼政はなんとしても従三位が欲しかった。そんな願望の歌があります。


のぼるべき たよりなき身は 木の本に しひを拾ひて 世を渡るかな


解釈1 木に登る手段を持たない我が身は椎を拾って生きてゆくのだなぁ

解釈2 昇進する望みもない我が身はせいぜい四位で世を過ごすのだなぁ


この歌を聴いた清盛は「あいつまだ四位やったんか」と言って頼政は従三位になったようです。う〜ん、そういった出世は嬉しいものなのか、と思ってしまいますね。

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