第10話 逸話集その一 むごい教育

織田信長公に敗れた事でお馴染みの今川義元公ですが、実はなかなかの人物だったそうです。そんな逸話を一つ。



家康の幼い頃の松平氏(後の徳川氏)は今川氏の庇護を受けている非常に弱い存在であり、まだ幼い家康は人質として駿府に送られました。

今川義元が家臣に言ったことには

「竹千代(家康)にはむごい教育をせよ」

「むごい教育」というと、ご飯を満足に与えない、十分な衣服を与えない、などと考えてしまいますが、実はその逆、

「竹千代には夏には涼しいように、冬には暖かいように過ごさせよ、腹が減ったならば十分な飯を食わせ、眠たいならは十二分に寝かせてやれ、勉学を嫌うならばやらせるな」

義元が考えたのはこういうことです。全てが自分の思うようになり、十分すぎる生活に慣れると人は腑抜けになるだろう。逆に厳しく接すると精神的にも強くなるに違いない。だから、「むごい教育」をせよ。いやはや、恐ろしい人です。



今川義元は桶狭間で殺されましたが子供の氏真は江戸幕府にて「高家」となりました。「高家」というのは家康がつくった名門コレクションみたいなもので今川氏、吉良氏、京極氏などがあります。まさか義元も、自分の子孫がこの若造(家康)の子孫に頭を下げることになるとは想像もつかなかったでしょうね。

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