第63話 夏だ!海だ!!水着だぁ!!!

 翌日、日曜日の朝9時30分頃。


 家から最も近いビーチ広場へとやって来た。

 歩きだとさすがに疲れるので、3人でバスに乗って来た。


「海だっ!海だぁーーー!!」

「彩音、落ち着け。テンションが高い……ほら、早く行くぞ」

「ふふっ」


 広場を目の前に、テンションが上がっている彩音を、なんとか落ち着かせようとする俺を、遠目で見ている柚梪が笑う。


 キャリーバッグを引っ張る彩音、両手で手提げカバンを持った柚梪、リュックサックを背負った俺。

 ビーチからくる爽やかな風に吹かれながら、俺達3人は、広場へと入って行った。


 


 広場へ入ると、まずはすぐ隣にある小さな小屋の中に設置された、ロッカーの中に荷物を入れる。

 もちろん、キャリーバッグが入るくらいの、大型ロッカーもいくつか設置されている。


 俺は服とズボンだけを脱いで、水着姿へとなる。元々家を出る前、下に水着を着ていたから、手間が省けて楽だ。


 ロッカーは鍵式で、中に番号付きの鍵が入っている。荷物を入れたら、その鍵でロッカーを閉めて、このビーチを管理する人が居るカウンターに預けることで、荷物を盗まれないようにしてある。


 ロッカー自体にも番号が書いてあり、番号を忘れることはない。鍵を預ける際にも、自分で名前を書かなければないらい。


 俺の着ている水着は、あまり肌を出さない為の私服みたいな水着。

 俺は筋肉とかには自信がないので、無難なこれを着ている。


(そう言えば……彩音とこうして水で遊ぶのは、いつぶりだろうか。それに、彩音と柚梪の水着……)


 鍵の手続きが終わった俺は、ゴクリと唾液を飲み込み、広場の中央らへんで2人を待っていた。


 ここの海はとても人気があり、3つのゾーンに別けられているんだ。

 それぞれ、広場・ビーチ・海水ゾーンだ。


 広場ゾーンには、ヤシの木みたいな大きな木が、一定の間隔で植えられていたり、かき氷や焼きそば、たこ焼きなどの屋台が並んでいる。もちろん、食事を取るためのスペースもある。


 ビーチゾーンは、その名の通り砂浜のこと。

 ビーチバレーをしたり、スイカ割り、テントを建てたりする場所である。


 海水ゾーンもその名の通りだな。

 足元が透けて見えるほど綺麗な海水で、存分に泳いだり、潜って魚を見たりすることが出来る。


 屋台で何かを買う時には、もちろんお金がかかるが、入場に関しては無料と言う所も、1つの魅力だな。

 その代わり、自動販売機や屋台の売っている物は、普通より少し高いけど。


 今日が日曜日なだけあり、ものすごい人の数だ。

 家族で来ている人、友達同士で来ている人、ましてや恋人と来ている人など、様々だ。


 そして、海と言えば……そう、水着。


 水着とは、女性が最も魅力的になる瞬間でもある。その秘密とは、すなわち露出!


 首・肩・胸・腰・腹・足……以下の全てが、最大限にまで露出するのが……水着!


 水着を着ている女性と言うのは、露出が激しいほど目が吸い寄せられてしまうのだ。男なら、誰でも経験があるばず。


 


 2人まつこと僅か数分、ついに水着姿へと進化した2人が……姿を表したのだっ!


「お兄ちゃ~んっ! おっ待たせ~!」


 遠くから聞こえる彩音の声に、俺は目を向ける……そして、俺の視界に入ってきたのは、とびっきり女性らしさを発揮した、彩音と柚梪。


 2人はどの女性よりも遥かに輝いており、その証拠として、歩いてるだけで、男女問わずに視線を向けられている。


「えへへっ、どう? お兄ちゃん。可愛いでしょっ?」


 近くまで来た彩音は、左手を腰につけ、右手でピースマークをしながら、ウィンクをしてくる。


 外側に薄い紫色のラインが入った、白主体の水着。彩音の膨らんだ胸が、水着によって持ち上げられて、魅惑の谷間がしっかりと強調されている。

 また、彩音自身もスタイル抜群。その薄白く綺麗な肌と体を存分に見せびらかす。

 髪型はいつもと変わらず、ツインテールのままだ。


「……あの、やっぱり恥ずかしいです……他の人からも、見られてますし……」

「……っ!」


 モジモジとしながら、彩音の後ろからゆっくりと姿を表す柚梪。

 その瞬間、俺は昇天してしまいそうなほどの女神を見てしまった。


 柚梪の水着には、胸と下の部分にはひらひらの薄い布がついている。

 スカートのようになっている布は、柚梪が少し身動きするだけで、ひらひらのと揺れる。

 また、柚梪も同じく水着によって、薄いピンク色の艶が入った胸が持ち上げられ、柚梪の豊満な胸による谷間に、目が吸い寄せられて仕方ない。

 さらに驚いたことに、なんと柚梪の髪型が、ポニーテールになっていたことだ。

 いつもと違う髪型に、吸い寄せられる胸の谷間、抜群のスタイル。もちろん、2人ともへそ出しのおまけ付き。


「俺……今日、死ぬかも」

「えっ!? ダメですっ! 死なないでくださいっ!」

「……っ!?」


 その言葉を聞いた柚梪が、急いで俺の近くへ歩み寄ってくる。

 しかし、柚梪が歩いてくるときの振動で、柚梪の膨らんだ豊満な胸が……プルンっと小さく上下に揺れるのだ!


(あっ……ダメだ。俺には刺激が強過ぎた……いいや! せっかく遊びに来たんだ。2人に迷惑をかけるわけには……)


 俺はなんとか理性を保つ。柚梪は気づいてないが、胸を揺らしてくるのは……反則だ。


「と、とりあえず……全員揃ったし、早速行こうか」

「うんうん! レッツゴー!!」

「は、はいっ……」


 こうして俺は、水着姿の彩音と柚梪に挟まれながら、ビーチゾーンへと足を踏み入れる。


 あれ? もしかして……これがいわゆる『両手に花』ってやつ!?


 今日は……最後まで理性を保っていられるか、実に心配だな……

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