第60話 レッツゴー! 水着選び♪
俺の家から、そこそこ離れたショピングモールへと到着した彩音と柚梪。
中へ入ると、今日が土曜日と言う休日なだけあり、たくさんの人が買い物を楽しんでいた。
「なんか……前来た時より、人が多いような……?」
「まあ、今日は土曜日だし。人が多いのも仕方ないよね。ほらほら、そんなことより、上に行くよ! 上!」
「あっ……彩音ちゃん、そんなに引っ張らなくても……」
「だって、柚梪ちゃんと買い物するのワクワクするんだもん!」
普段は母さんと、滅多に帰って来ない父さんの2人としか、あまり買い物に行かないことから、こうして知ってるかつ、家族ではない人と買い物が出来ることに、彩音は少々テンションが高め。
たくさんの人が居る中、グイグイとショッピングモールの中を歩く彩音に、引っ張られる柚梪。
階段を登り、3階にある季節限定の服や衣装が売っているお店を目指す。
また、彩音はアニメキャラクターみたいな可愛い見た目に、柚梪はアイドルやモデルさんに負けないほどの美人。
男女問わず、通り過ぎる人達の視線を寄せ付ける。
特に高校から大学生の人達は、目を離さずには居られなかった。
(うぅ……色んな人に見られてる……慣れてないから恥ずかしくなってきた……)
それに対し彩音は、気分が上がっているからか、すでに慣れているからなのかは知らないが、全く周りの事は気にしてない様子。
数十分歩くと、目的の季節限定の服や衣装が売っている、1つのお店へと到着した。
「あの、彩音ちゃん……私、お金持ってないんですが……」
「ん? あぁ、お金に関しては心配しないで。今はお休み中だけど、私もバイトしてるんだ。お金もそれなりにあるし、水着の1着くらい買ってあげるよ」
「えっ……そんな、申し訳ないですよ」
実際の俺は知らないのだが、彩音も高校に入ってから、週に3日間働いているそうだ。
フード店で働いている彩音は、看板娘と言われるほどに、お客さんからの人気が高いらしい。なんとも、『対応が素晴らしい』だとか、『見た目が可愛い』などの声が多いそうだ。
「もうっ、本人がいいって言ってるんだから、そう言う時は素直に甘えるべきだよ?」
ムスッとした顔になる彩音は、両手を腰につけて、上目遣いで柚梪の目を見つめる。
「そ、そうなんですか……?」
「そうそう。せっかく料理を作って貰ったのに、『私は要らないです』って言って、無駄にしてるようなもんだよ」
「な、なるほど……」
グイッとくる彩音に、少々戸惑いながらも、柚梪はしっかり彩音の話を聞く。
「じゃあ……えっと、甘えさせてもらいます……?」
「うむ。よろしい」
そして、お店へ入って行く彩音の後ろを、柚梪はゆっくりとついて行った。
夏の私服や衣装の他、水着コーナへと足を踏み入れる彩音と柚梪。
色々な水着を眺め、頭を悩ませる彩音に、展示されている水着や、実際に女の人が水着を着たポスターを見て、少しドキドキしている柚梪。
「うーん……柚梪ちゃんは髪色が灰色だから……似合いそうな色の水着を見つけるの、ちょっと大変かも」
「……あの、これを実際に着るんですか……?」
「ん……? そうだよ? じゃないと服がびしょびしょになるでしょ?」
「それは……そうですけど……露出が多くないですか……? 見てるだけでも恥ずかしいですし……実際にこれを着るなんて……」
「まあ、水着ってこう言うものだし」
彩音は黙々と柚梪に似合う水着を探す中、柚梪はたくさんある水着に、少し顔を赤くする。
ハンガーに掛けられた水着の中から、柚梪に似合いそうな水着を手に取っては眺めたり、柚梪に合わせてみたりと、水着を厳選していく。
「柚梪ちゃんは髪色が少し薄いし……白? いや、攻めすぎか……」
水着とは言っても、胸と下を隠すよく見る露出多めの水着や、逆に服みたいな肌を露出させない水着もある。
まあ、彩音が選んでいる方は、言うまでもないな。
「うーん……やっぱり、灰色のラインが入った水着は無いかなぁ……せっかくお兄ちゃんに見せるんだし、色も合わせたかったんだけど……」
「……えっ?」
ポツリと呟いた彩音の言葉に、柚梪が耳を疑う。
「これを着ている姿を……龍夜さんに見せるんですか……?」
「そうに決まってるじゃん。水着姿の女の子は、男にとって絶大なアピールになるんだから」
「でも……」
モジモジとしながら顔をさらに赤くする柚梪。
「元から3人でって言ったから、分かってたもんだと思ってた」
「は……恥ずかしい……」
柚梪の手を引きながら、彩音は柚梪に合う水着を探していく。
それから数分間……水着を探し回った結果……
「うん。見てきた中では、これが一番合ってるかな。これにしよっか。サイズも大丈夫ぽいし」
「はい……(それを明日……着ている姿を龍夜さんに……)」
お会計を済ませた彩音は紙袋を手に持ちながら、柚梪と一緒にお店を離れる。
「よーし! 柚梪ちゃんの水着も買ったし! 適当に夜ご飯でも買って帰ろっか~。何か食べたい物はある?」
「いえ、私は特に……」
「じゃあ、なんかハンバーガー食べたい気分だし、バーガー買って帰ろっと」
その後、フードコートへ向かった彩音と柚梪。
彩音が3人分のハンバーガーと飲み物、プラスでポテトやナゲットを買って、ショピングモールを柚梪と出た。
「あっ、これは柚梪のだからね。はいっ、どうぞ!」
「あ、ありがとうございます」
水着の入った紙袋を手渡される柚梪は、丁寧に両手で受け取った。
少し前を歩く彩音について行きながら、柚梪はあることを考えていた。
(これを着たら……龍夜さん、喜んでくれるのかな……?)
まあ、この世の中に美女の水着姿を見れて、喜ばない男は、滅多に居ないと思うけどな。
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