第48話 彩音の隠し持つ才能

 お兄ちゃんが警察に連行され、柚梪ちゃんが元父親に連れて行かれた。


 あまりにもおかしい……お兄ちゃんは柚梪ちゃんを保護してから、一度も警察署や保護施設に連れてってないみたいだし、相談もしてないみたい。


 だから、誘拐……ってのは分からなくもないかも?


 実際、柚梪ちゃんが誘拐の対象だとしたら、家族の縁を切ったのと、柚梪ちゃんを捨てたのは実の父親。

 自分から娘を捨てたのに、誘拐って扱いになるのかな?


 けど、もう1つ分からないのが……殺人容疑。


 お兄ちゃんは人の命を奪うような人じゃない。むしろその逆。何かあったら、積極的に人助けてをする人。


 警察が去った後、まるで狙ってたかのように出てきた間宮寺家当主……私じゃなかったら、気配をすぐに感知して、舌噛んで気絶を回避するなんて、お父さんくらいしか出来ないでしょ。


「それにしても……いたぁい……これじゃあココアが飲めないよぉ……」


 私はぶつぶつと呟きながらも、ダイニングテーブルにノートパソコンを広げて、手慣れた手つきで作業を進める。


(やっぱりあの黒い車……最初から今日お兄ちゃんが警察に捕まることを知ってて、待ち伏せしてたのね)


「あいつの名前は知ってるから、簡単に家の場所を見つけられる。有名、もしくは知名度があれば、ネット検索でちょちょいのちょだからねー」


 インターネットを使って、『間宮寺家』と検索すると、一瞬で検索結果が表示される。


 やっぱり……お金を稼いでるだけあって、色んな会社と繋がりがあるみたい。


 そこで……私はある1つの記事に目をつける。


「現間宮寺家当主は、会社だけでなく……警察署長との繋がも……?」


 なかなかに興味深い記事じゃない。何かしらの情報があるかも。


「村上警察署長は、現間宮寺家当主の間宮寺鷹行と、とても交友関係にある。過去に、様々な事件の解決……村上警察署長の所属場所は……って、お兄ちゃんが連れて行かれた所じゃない!?」


 へぇ……こんなにも早く使えそうな情報があるなんて。メモメモっと……


 しかし、この情報意外には、特に使えそうな情報は見当たらなかった。やっぱり、ネットだけじゃダメか。


 でも、1つ気になった情報と言えば、知名度の高い間宮寺家の娘が居なくなったとなれば、大騒ぎになるはず……なのに、全く騒がれていないどころか、柚梪ちゃんの行方不明の記事が、一切無いと言うこと。


 逆に、18歳を越えた女性の行方不明と、消息不明の記事やニュースがたくさんある。中には、4~5年前の物まで。


 それに、村上警察署長って人が関係してるかもってだけでは、お兄ちゃんを無罪と証明するには、情報と証拠が全く足りない。


 もっと有益な情報を掴むには、その内部から盗んでくる必要がある。例えば……動画とかかな?


 でもね……お兄ちゃんと柚梪ちゃんを助けるためなら、私は躊躇や容赦なんかしないから。


 私は一度椅子から立つと、ソファーの横に寝かせてあるキャリーバックを開くと、あるUSBを取り出した。


 そのUSBは、ちょっと特殊なやつでね。パソコンに装着することで、ある機能が使えるんだ~。


 USBをパソコンに装着すると、パソコンにある画面が表示された。さあ、ここからが本番よ……!


「それじゃっ、時間も限られてるし……いっちょハッキングしますか!」

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