第49話 間宮寺家の真相
「ふう、侵入成功。金持ちな家系だけあって、セキュリティちゃんとしてるわね。ちょっと時間掛かっちゃった」
まあ、ロックされたセキュリティを解除すれば、数分で侵入出来るけど、相手側の正式な解除方法以外でロックを解除すれば、相手側に警戒されてしまう可能性がある。
警戒されないよう、ロック解除に必要なパスワード探しに、少し時間を取られてしまった。
とりあえず、相手側が使う正式なパスワードで侵入したから、警戒されることはないと思う。
私は、表示それた画面やファイル等を次々と観覧する。
「ふーん……案外ちゃんと管理してるのね。特に使えそうな情報が無いなぁ」
百個近くあるファイルを、開いては見てを繰り返すけど、会社に提案したおもちゃや道具の企画書だったり、部品の設計図だったりと、使えそうな情報が全くない。
約1時間ちょっとくらいかけて、全てのファイルを見たけど、特に何もなかった。
次に私が目をつけたのは、監視カメラの映像。
同時に、とあるアンテナを起動する。そのアンテナは、設定した電話番号に電話が掛かる、もしくは着信した際に電波を感知して、話の内容を聞くことができる。
さっきファイル漁りしてたら、企画書の中に間宮寺鷹行の電話番号が書いてあったやつがあるから、メモしといた。
けど、聞いちゃいけなさそうな通話だったら、即切るから。
「うわっ……自分の家に監視カメラつけてる……悪い事ではないけど……67箇所って多くない?」
画面に表示される67種類の映像。廊下や外、部屋の中など、様々な映像が流れる。
もし部屋の中を映しているカメラが、女性が使う部屋なら、普通に盗撮じゃない?
廊下や部屋に関しては、人が居なかったとしても電気がついている状態。これは……夜まで待たないと変化が起きないかも……あれ?
「ん? 全然気がつかなかった……このカメラ、作動してないじゃん」
私は、画面に映る全てのカメラ映像の中から、一番左隅にある真っ暗な映像を見つけた。
映像をクリックすると、正常に作動しているやつなら拡大されるんだけど、真っ暗なやつはクリックしても、『60番カメラは作動していません』と表示される。
「作動していない……か。壊れてだけかもしれないけど、動くか試してみよっと」
私は試行錯誤しながら、片手にコップを持って、冷たいココアを飲みながら作業を……
「あいたっ!? うぅ……舌を噛んだことをまた忘れてたぁ……」
はぁ……とため息をしながらも、ちゃくちゃくと作業を続ける。
「うーん……やっぱ壊れてるだけ……あっ、ついたついた♪︎」
無事に60番の監視カメラを作動されることに成功。しかし、そこに映った映像から……何か良きせぬ雰囲気が伝わってくる……
その映像は、1つの部屋なんだけど、太陽の光とか入ってない限り、地下室か何かかな?
電気が消えてよく見えないけど、壁に数個銀色の何かが飾られている……?それと、縦に細長い布に包まれた置物が2~3個ほど。
すると、その部屋の電気が突然明かりを灯し、1人の男性と女性が入って来た。
その男性は女性を椅子に座らせると、ある事をした。それを見た私は、すぐに録画ボタンを押す。
「……。多くの女性が行方不明になってたのは、これが原因……? っ!? 電波!?」
アンテナが反応した。画面に映る男性が、ポケットから携帯を取り出し、誰かに電話を掛けているようだった。
私が設定した電話番号は、間宮寺鷹行の電話番号。と言うことは、間宮寺鷹行が誰かに電話を……?
監視カメラの映像を映してながら、録音ボタンを押して電話の内容を聞く。
「もしもし? どうされたんですか?」
「はぁ、この私が心を開いてやってると言うのに、あの小娘は否定ばかりしよって」
「まあまあ、落ち着いてくださいよ。それで、ご用件は?」
「如月龍夜はどうなっている?」
「……! お兄ちゃん!?」
突如として出てきたお兄ちゃんの名前に、私はより注意深く話を聞く……
「今は牢屋に閉じ込めております。あと、頼まれた証拠動画も作っておきました」
「ほう。あとで見せてくれ」
「分かりました。電話のあとに送っときましょう」
「決行は明後日の朝10時だ。小娘も、世話してもらった本人が、死刑判決を喰らった時の反応が楽しみだ。いつも通り、お前の実力が試される。失敗したら……分かってるな?」
「もちろん。私も大金を貰ってる以上、必ず成功させることを約束しましょう」
通話はここで切れた。決行……死刑判決……大金……なるほどね。とことん腐ってるじゃない。
私の愛するお兄ちゃんを、命の危機に追いやろうって?なら、私はあんたを絶望に追い込んでやるわよ。
「お兄ちゃんと柚梪ちゃんは絶対助ける。十分情報と証拠は集まった。私を本気させたこと……後悔させてあげるわ……!」
そして時間は、翌日へと進む……
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