第36話 柚梪の過去 その2
「真矢……お前は間宮寺家の娘だと言うことを、自覚しているのか?」
「はい……自覚しています」
「それにしては、何一つ出来て無いではないか。お前に対する良い報告が、この1年で何も無いとは……どういうことだ?」
「ごめんなさい……私、もっと頑張りますから……」
私は、お父様の時間が空いている時は、ただひたすら説教を受けていました。
年齢も7歳になり、物心もある程度ついています。
しかし、私は未だに何一つ出来ることが見つからないのです。
「もういい。早く部屋へ戻れ」
「はい……お父様」
毎日お父様の機嫌を損ねるばかり。それでも私は、お父様に認めてもらいたくて、必死に頑張りました。
自由時間を全て使って、今日習った事を復習したり、本の数を少なくして、少しずつバランスを取れるように工夫したりと。
すると、だんだん時間が足りなくなり、ついには……夜の寝る時間を削ってまで、勉強をしていました。
「ここの数式の解き方は、この表を見ると分かりやすいな。表の見方は……」
睡眠時間が足りなくなってきた私は、先生からの授業中に、うとうとすることが多くなっていました。
なんとか耐えようしますが、眠気に耐えるのに力を使ってしまい、先生から授業内容が、全く頭に入ってこないのです。
眠気に耐えて、夜に復習の繰り返し。結局私は、先生に習った事を先延ばしにして勉強しているみたいなものです。
「すると、ここの数式を解くことが出来る。他にも解き方はあるが、これが一番簡単だ。では、早速解いてみ……」
「スー……スー……」
とうとう眠気に耐えれなかった私は、先生の授業中に居眠りをしてしまうと言う、大失態をしてしまうのです。
教えてた事を覚えられない、問題を解くのが遅い、解いても間違いだらけな上、授業中に居眠りをする私に、とうとう先生の怒りが爆発してしまいました。
「真矢っ!!!」
「……っ! はい、はい……!」
「お前と言う奴は……ただでさえ勉強が出来ない上に、居眠りをするとは……!」
「先生……! 違うんです! 私は、夜に復習を……」
「言い訳は知らん! お前には授業を受ける意志が無いみたいだな」
「……! 先生、待ってください……」
「お前はもう部屋に戻れ。これからは授業に来なくていいからな。当主様にも、俺から言っておこう」
「先生……! それだけは……! お願いします……やめてください! チャンスをください……!」
私は先生によって、強引に授業を受ける部屋から追い出されてしまいました。
「……」
しかし、それを見ていた姉様は、少し口角を上げて、微笑んでいました。
そのまま私は、部屋へと戻されてしまいます。
そして、夜になると先生が今日の私達の様子を、お父様に伝えるのですが……
「当主様、今日は真矢が授業中に居眠りをいたしました。私の勝手な判断になりましたが、授業を受ける意志無しと感じたため、強引に部屋から追い出してしまいました。すみません」
「構わん。そうか……真矢は居眠りをしたのか。間宮寺家の娘として、実に恥だ。もう期待するだけ無駄のようだな」
ここから私の人生は、絶望のどん底へと落ちていくのでした。
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