第30話 妹?の襲来

「えへへっ、久しぶりだね。お兄ちゃん❤️」

「……えっ?」


 家のインターホンが鳴ったので、玄関の扉を開いた。そしたら、とても可愛いらしい女の子が立っていた。


 紫髪の腰元にまで伸びている長いツインテール。瞳は紫寄りのピンク。そして、なによりスタイルがとても良い。


 だが、聞き間違えだろうか……確かに俺には妹が1人居るけれど、俺の知ってる妹は、まず髪の色が茶色のはずだ。人違いだろう。


「あの、どちら様か存じ上げませんが、人違いだと思いますよ」

「えっ!? 人違いなんかじゃないよ! 私は、れっきとしたお兄ちゃんの妹だよぉ!」

「いや、まず俺の妹は茶髪ですし。それから、実家の方で生活してるばずなので」

「あぁ……髪色変えてたの忘れてた。だから他人だと勘違いしたんだね」


 彼女は、長いツインテールの髪を片方持って、髪を眺めながらそう言った。


 すると、彼女はチャック付き胸ポケットの中から、あるカードを取り出して、俺に見せてくる。


「お兄ちゃん、これ見て?」

「これは……学生証明書?」

「その通り!」


 彼女が見せてきたカードは、学生証明書だった。顔写真は今の彼女そのもの。学校は……知らない所。

 

 そして、名前の欄を見ると……


「おいおい……マジかよ。お前、本当に彩音なのか……?」

「だ・か・ら、さっきからそうだって言ってるじゃん! まあ、ちょっと見た目変わってた事を、言い忘れた私が悪いんだけどね」


 如月彩音きさらぎあやね

 俺の2つ年下の妹だ。今年で17歳になったのだが、なぜか髪と瞳の色を変えている。

 というか、髪色とか変えても大丈夫なのだろうか……

 性格は明るく元気で、昔から俺の事が大好きで、トイレやお風呂の時以外は、常に俺の近くから離れないよな日が、数え切れないほどあった。

 こうして彩音と会うのは、約1年ぶりくらいだ。


 彩音は非常に頭が良く、パソコンを使うのが好きな彩音は、実家から結構離れた場所にある、とある専門の大学に、飛び級で進学したとか。


 どんなパソコンの知識を学んでいるのかは知らない。というか、教えてくれなかったな。


「まあ、1年ぶりくらいか? 彩音、相変わらず元気そうじゃないか」

「うん! 今お兄ちゃんと会えて、500倍くらい元気になった!」

「大げさだな」


 次の瞬間、彩音は俺の体へと抱きついてきた。まだ、年齢で言うと高校生なのに、大きく膨らんだ彩菜の柔らかい胸の感触が、体越しに伝わってくる……


「えへへ……お兄ちゃんの温もり……落ち着くなぁ~」

「ちょっ、彩音……急に抱きつくな」


 髪色や瞳の色が変わって、より可愛いらしくなったにも関わらず、いつの間にか別の部位も成長してるし……。


「お兄ちゃん、どう? 彩音可愛いでしょ?」

「まあ、アニメキャラみたいで……可愛いけどさ」

「やったぁ! お兄ちゃんに可愛いって言われた! 彩音嬉しい!」


 昔は普通に接していたんだけどな……一段と女性らしく成長した彩音に、少し緊張してしまったいる俺が居る。


 これは……柚梪にも負けないくらいの可愛いさだ……彩音が俺の妹であることに、とても誇らしく思う。


「んで……俺の家に何か用? お前の住んでるアパートからは……それなりに距離があると思うんだが」


「そうだよ。実は私の通ってる学校ね、今日から夏休みなんだ。だから、実家でゆっくり過ごそうかなって思ってたんだけど、お兄ちゃんの家の近くを通ったから、こっちに来ちゃった」


 会いに来てくれるのは、正直嬉しいけど……わざわざ俺の家まで来て、そのまま実家に行くのか?大変だな。


「で、俺に会いに来るだけ来て、実家に行くのか? 忙しいやつだな」

「最初はそう思ってたよ?」

「ん? 最初は……?」

「うん。最初は」


 俺の家に寄った後、実家の方へ行くようだった。しかし……最初はそう思っていたらしい。


「お兄ちゃんに会ったら、もっと一緒に居たくなっちゃった❤️」

「えっと……それってつまり……」


 俺の体に抱きついた彩音は、上目遣いで俺を見上げると、案の定……俺の思った通りの言葉が返ってきた。


「夏休みの間、家に泊めて? お兄ちゃん❤️」

「……はぁ、やっぱりか……」


 どうせそうだろうと思ったよ……全く……

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