第28話 柚梪のパジャマデビュー
翌日の夜21時頃のこと。
バイトから帰って来た俺は、私服の可愛い柚梪に、お出迎えをしてもらった後、夕食を2人で食べて、柚梪がお風呂に入っている最中のことだった。
結局昨日は、洋服を気に入ってくれた柚梪は、1日中私服姿で過ごしたため、今日はちゃんと洗濯をしなければならない。
なので、今日柚梪には夏用のパジャマを渡してある。まあ、上着に関しては、今まで着てきた灰色のパーカーなのだが、どうもそのパーカーも気に入ってるらしい。
出来るだけパーカーに合うズボンを選んだつもりだが、果たしてどうだろうか。
俺は少しドキドキしながら、柚梪がお風呂から上がってくるのを待つ。
数分後、柚梪がリビングへと戻って来た。
昨日と同じように、肩を優しくトントンっと叩かれた俺は、ゆっくりと後ろを振り返ると、そこにはパジャマ姿の柚梪が立っていた。
柚梪に買った夏ようのパジャマズボンは、パーカーと同じ灰色にして、布自体は薄い長ズボン。
夏に長ズボンはどうなのか?と思うところはあるが、パーカーが長袖だからか、半ズボンだとどうしてもバランスが悪くなってしまう。
だから、出来るだけ涼しくなるよう、布の分厚さが薄い長ズボンを選んだ。
結果、パーカーが少し分厚めなせいで、多少バランスが取れてないように見える。まあ、柚梪が着ている時点で可愛いのは当然なのだが。
やはり、夏用の上下セットパジャマを買っといた方が似合ってたかもしれない。俺の失態だな。
「うーん……やっぱり、上が冬向きのパーカーだからか、バランスが少し取れてないな」
すると、柚梪は少ししょんぼりとした顔で、そっぽを向いた。
「あぁ……柚梪のことじゃないよ? ただ、ちょっと選ぶ服を間違えたかもって言っただけだから」
昨日の洋服が、柚梪に似合い過ぎていたせいか、今日のパジャマ?のような服には、少し見劣りしてしまう。
ムッと頬っぺたを膨らませた柚梪は、僅かに鋭くなった目付きで、俺を見つめてくる。
「ごめんって。別に、柚梪が可愛いくないとかじゃないからさ。俺の中で、柚梪は一番可愛いぞ」
その言葉に対して、柚梪の見せた行動は、いつもと違った。なんだか……ほのかに顔が赤い?それに、少しだけもじもじとしてるし……
まあ、気のせいだろう。お風呂に入ってた時間が、少し長かったから、きっとのぼせちゃったのだろうな。
「今度、お給料が入ったら、別のパジャマを買おうか。次はセット商品を買うとしよう」
今ある資金でパジャマを買ったら、今月分が赤字になってしまう。少し食材を買いすぎたようだ。まあ、2人居るから……多少高くなるのは仕方ないよな。
「じゃあ柚梪。今度は俺が入ってくるから、2時間くらいのんびりしてて良いよ」
柚梪の頭を軽く撫でると、俺はお風呂場へと向かう。
一方柚梪は、不意の撫でに顔を赤くした後、口で小さく息をしながら、自分の胸元を両手で押さえていた。
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