第24話 ショッピングモール

 朝11時頃、柚梪と手を繋ぎながら、約30分の時間をかけて目的地のショッピングモールへと到着する。


 すれ違う人達から、ちょくちょく見られてはしたが、当然気にしない。というか、気にしたら恥ずかしくてたまらない。


 大規模なショッピングモールを前にすると、柚梪は目を大きく見開いて、ショッピングモール全体を眺める。


 柚梪自体も、あまりの大きさに驚いているのだろう。駐車場にも、数えきれないほどの車が止まってあり、ちょっとした屋台や、宝くじなんかも販売されている。


 こうして、俺と柚梪はショッピングモールの中へと足を踏み入れる。


 中に広がるのは、5階までびっしりと並ぶたくさんのお店に、いろんな人々がお買い物を楽しむ、広大な空間。


 このショッピングモールには、当然様々なお店が並んでいる。スーパー、服、本、道具、小物、おもちゃ、ゲームセンター、飲食店など、お店の種類は50種類以上。


 平日なのにも関わらず、ショッピングモールには数えきれないほどの人でいっぱいだ。中には外国人もちらほら見える。もし、日曜日と言った休日の場合、さらに1.5倍くらい増えるだろう。


 このショッピングモールは、子供からお年寄りまで、幅広く愛されている。


「柚梪。人が多いから、はぐれないようにね」


 俺は柚梪にそう言うと、柚梪の手を再度握る。それに対し、俺の目を見つめながら、柚梪も優しく握り返してくれた。


 お互いに手を握り合うと、俺は目的の食材や日常品が多く売っている、スーパーマーケットへと向かうため、歩きだしたのだ。


 右手には柚梪の手、左手では車輪付きショッピングバックを引っ張って、学生が登校の時に使うような、大きめの斜めがけバック。他から見たら、完全に変な人。


 さらには、柚梪の来ている服は、女の子が着ても問題は無いが、少なくとも男性用。ましてや、服のセンスすら無い。大抵俺が見られるのではなく、皆の視線は柚梪に行ってしまう。


 全ての人が見てくる訳では無いが、特に中学生から高校生の学生達から、ジロジロ見られたり、笑われたりする。


 俺はすでに、何度かこうして買い出しに来ているから、正直慣れている。しかし、柚梪は他人からジロジロと見られることに、少し気にしているようだった。


「……うおっ、柚梪……急にしがみつかないでくれ。驚くじゃないか」


 見られることに限界が来た柚梪は、俺の右腕に抱きついてきた。


 やはり……服装もそうだけど、柚梪には少し外出は早かったか。


「大丈夫。人の目なんて気にするな。ほら、しっかり前を向かないと、人とぶつかったりするぞ?」


 俺はその場で立ち止まり、柚梪を落ち着かせる。


 ここまで来たからには、少し申し訳ない気持ちはあるが、柚梪には辛くても……耐えてもらう他ない。


「さあ、行くよ。少し辛いかもしれないけど、時間を無駄には出来ないから、なるべく早く終わらせて帰ろう」


 柚梪の頭を優しく撫でながら、俺の言葉にコクリと頷く柚梪。


 柚梪は、俺の右腕に抱きついたままだけど、俺はゆっくりと歩き始める。


 ショッピングモールに入ってから、約10分。俺と柚梪は、目的のスーパーマーケットへ到着する。


 このスーパーマーケットでは、比較的に女性の数が多く、食材の品揃えや、お弁当と言った種類が豊富な上、他のスーパーよりも値段が安いで人気なのだ。


 今日も今日とで、たくさんの人が買い物をしているな。さて、俺も大量に食材を、買い込むとしよう。

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