第42話 赤髪のゼロ
私は「時の加護者」アカネ。
私たちはフェルナン国とギプス国の親善イベントに乗じた「元の民」の謀略を阻止した。ラヴィエとアコウも釈放されたし、「運命の加護者」シャーレにも無事に会うことができた。しかし、そのことに面白くないのは「元の民」首領ヨミだ。私の知らない所でまた奴らは良からぬことを考えていた。
—元の民の館—
「ミゼよ。お前は嬉々としてここに帰ってきたわけだが、何に喜んでいたのか、今、この場で言ってみよ」
「 ..っ.. 」
「言えないのであらば、正確に一文字たがわず私が言ってやろう。『ヨミ様、フェルナンとギプスを対立させることには失敗しましたが、あの運命のシャーレを葬ってやりました! 』と言ったと思うのだが、何か言う事はあるか? 」
「ま、まさか、あいつが依り代を見つけてやがるなんて知らなかったんです」
ヨミは食虫植物に虫をあたえる手を止めるとミゼの方へ1歩近づいた。
「『知らなかった? 』そうだな。無知とは世界で最も罪深いのかもしれぬな。トパーズは力が失せると石になってしまうことも知らなかったと.. 腐っても『秩序の社』で警備をしていたお前が! 」
「で、ですが、『秩序の社』の中身は空っぽで— 」
「黙れ。もうよい。お前がガゼやロウゼよりも役立たずだと知らなかった私も悪かったのだ。だから私も過ちはもう繰り返さぬ。ミゼよ、お前にはゼロをつける。知っているな、お前でもゼロのことは」
「 ..はい。世界で最も優れた剣の使い手という」
「違うな。俺の前に剣の使い手はゼロだ」
その場にいるゼロはミゼを見る価値もないように空を見つめながら言う。
「(何、格好つけてやがるんだ、スカシヤロウ)」
「ミゼよ ..お前が『策略こそが世界を制する』と私と同じ考えを持つが故に腕を治しこのように慈悲を与えているのだ。そこのゼロは自分の意志によって剣技を向上させる不思議な力を持たされている。策略を練り今度は成功させてみせよ。それに..ゼロには特別任務も与えている。わかるな」
「はっ。(くそ、失敗すれば俺を斬るっていう任務か.. )」
「俺一人でも全員始末できるが、一応、作戦を考えておけ」
ゼロは赤い長髪を揺らしながら部屋を出て行った。
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