第4話

「あんた、こんなのが欲しいのかい?こりゃ滅多に出回らないけどどんな魔物や魔人でも一回ヤっちまえば二度と忘れない。しかも駄目だと分かっていても手を出したくなっちまう魔性の葉っぱだよ?」


「もちろんもちろん、の魅力、いいえ魔力は十分理解してますとも。一時は私も家族と絶縁しかけましたからね」


 魔王城城下町で2番目(1番目は廃人の店)に安い価格で葉っぱを売っている魔族の店で購入したのは"ドリタビの葉"、通称は葛藤の葉というものです。


 こいつの特徴は何と言ってもリピート率の高さにあるんですよ。この葉で入れるお茶はお世辞にもうまいとは言えないし、むしろ不味いし口臭も周りが思わず一歩引く程度にはやばいんです。


 ただ、何となくそのエグみや臭さがまたどうしても飲みたいと思ってしまう、でもそれを飲めば周りが・・・という(結構どうでもいい)葛藤があるから通称は葛藤の葉なんです。


 でも、恐ろしいのはこのお茶のせいで「魔王軍の面接に落とされた」「家族と絶縁しかけた」「その時出会った彼女とドリタビ茶漬けの結婚生活が始められた」etc《などなど》……聞くに耐えない噂も絶えないことなのです。


 え?そんな前置きはいいから早く何で買ったか?今のを聞いて分かりませんでしたか?

 このお茶の特徴、そうんですよ!今のうちに足りないもの。それはそう!新規顧客を離さないリピート率なのです!


 なので、これをお茶にして冷蔵しておき、フラっと立ち寄って買い物して行った客に

「これ、買い物してくれた方へ当店からのサービスです」

とドリタビ茶を渡せば、もうこれでお客は次にいつうちに来ようか悩むようになるようになるはず!


 フフフ・・・


「おーい、あんた、釣り銭忘れてるよ、それに仮にも女子がどんな顔してんだい」


「はへっ?あ、はいはい。ありがとうございます」

危ない危ない、邪な考えが溢れ出ていたみたいだ


「あい、毎度。ところであんたの名前を聞いておいていいかい?そいつは下手なエルフだと処理が大変だからね」


「まあそうですね。改めまして私はヒカリ・トライアングルと申します」


「ほう!か。見るのは久しぶりだね。それに、うん、トライアングルなら心配ない。今後ともよろしくな」


「はい、今後もよろしくお願いしますね」

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魔王城城下町のヒカリさん @hakugin-Y

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