第2話

暇を潰し・・ゴホン、開店休業であることに頭を捻って、100秒経った。

そして、頭のいい私はその理由が分かってしまった。


そう、客が来なきゃ何も始まらないということだ。現状この店に来てるのはトラストさんに・・・

ダメだ、これは考えちゃダメな奴だ。

だからこそだ。この迷案いいや名案が役に立つのだ。


そのためには開店休業のこの店を一回「休業中 家でゆっくりしててください」ていう看板を掛けておいて、まずは買い出しに行かなくては、せーのっ!ジャーンプ


ドサッと戻ってくるとなんと買い出しが・・・あら不思議、勝手に終わっていた、なんていうこともなく、普通に種も仕掛けもないただの買い出しから帰ってドサッと座っただけなんだけども。

まぁ、ひとっ走りトラストさんの所と市場に行ってきたわけですよ。ま、まぁ、話さずにはいられない程のことがあったんだけどもね・・・


  ♢♢♢♢♢♢


トラストさんの所へはタバコ10箱と引き換えにとあるものを依頼してきた。頼んだ後にタバコの原価を知らぬ親父め、と「ふっふっふっ」とすごく得したような顔で笑っていた。

すると、近所の10歳位の鬼族の子供に逃げられた。ねぇ、ちょっと待って、勘違いなんだよ!私はそんなに?そこまで悪くないお姉ちゃんだから!お姉ちゃんと話をしようか?



あの後鬼族の子供を追いかけてたら母親が出てきて、めちゃくちゃ怒られました。

今後は気を付けます、ハイハイハイ、すいませんでした。た-いへん申し訳ございませんでしたー


「けっ、次同じことがあったらただじゃおかないよ!今日はこの辺で勘弁してやる」


ふっふっふ、鬼族のお母さん甘いな、平謝りしてればこの通りだ。黒い笑いが止まらんよ、ふっふっふ。あ、あの女の子だ、今度こそイメージアップチャンス!と思い手を振ったらまた逃げられた。やっぱり、お話ししようか!


「待ちな!ちょっとこっちにおいで」


走りだそうとするとさっきまで散々聞いた声がかけられた。ギギギ、と首を後ろに向けると鬼族のお母さんが笑顔を浮かべながら立っていた。ただ、目だけは笑っていなっかった。ここまで怖い笑顔を初めて見たかも・・・


「こっちに来なさい、いや来いよ、早く来いつってんだろ!おい!ぁくしろよ!」

ぎゃあぁぁぁぁー、す、すみませんーー


本当に反省し得られた教訓は一つ。

『鬼族がマジおこすると顔も気迫も顔も怖い』

あ、そうだ。鬼族のお母さんいや「鬼の姉御」に指導されてて忘れてたけど、今買い出しの途中だった。マズイマズイ。


その後、市場に向かったんだけど、まーたそこでもひと悶着あったんだな。

時々冷やかし・・・ではなく買いに行くエルフの店に行ったんだけどもね。

型落ち品とか粗悪品、不揃い品ばかり扱ってる格安なそこの店で買う予定だったんだけど、あのエルフのおっさん(見た目は人間の20歳位)がちょっと値切ろうとしただけで・・・


 ♢♢♢♢♢♢


「ねぇねぇちょっと、店主さーん?」


「どうか、冷やかしなら帰って頂けますか。このお店はなかなかに繁盛しているのですよ」


「な、失礼な!私は金を払う客ですよ!」


「ですが、ここにいらっしゃる時の八割は冷やかしですよね」

うぅ、前科を挙げられると辛い、ならばここは反撃の爆弾を投下するしかない。


「というか、店主、いやおっさん、ずっと思ってたけど、なんでそんな喋り方しているんですか?おっさんてもう(ピーー)歳ですよね」

*おじさんの名誉のため一部ピーー音を入れております


「「「「「・・・・・・・・・!?」」」」」

ビキーンという擬音が聞こえてくるかの如く、店内の空気が固まった、いや凍った。あれ、これもしかして地雷踏み抜いてオーバーキルしすぎた?


「お、おま、お嬢さん、ちょっとこっちにぃ・・・来てくださいますか?」

あ、これ不味い奴だ。と思いながら大人しくついていこうとすると、


「「「「ちょっと!どういうことですか!?」」」」


「いや、そのこれは、あの・・・」

店長のおっさんがしどろもどろになって狼狽えていたので、これ幸いとばかりに私は逃げた。


「あ、ちょっと、待てよ!ごら、戻ってこいこのクソガキがー!・・・」


後ろから本性を表した声だけが追いかけて来たが気にせず商業組合の組合支部に逃げ込んだ。

そこで揉め事を起こす馬鹿はいないので、万が一追いかけて来たとしてもなんとかなるという寸法だったが、あのおっさんは追いかけてこなかった。

そこで聞いた話で私はあのおじさんに怒鳴られた理由が分かった。

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