魔王城城下町のヒカリさん

@hakugin-Y

第1話

そこは魔王の住う魔境、魔族が跳梁跋扈し無秩序で無慈悲な場所。魔王城のあるルベーン。


そして、そんな町できちんと三食とおやつを食べる者、それはどんな強者であろうか。


その者の名はヒカリ。

さて、今回はそんな者がどんな生活をしているのか、

見ていこうではないか




「あーーーー、ヒ、マ」

なんだか、ここ最近暇が多い


あ、どうもどうも。申し遅れました、ルベーンにて由緒正しい(私が初代)雑貨屋である雑貨屋ヒカリのルベーン店を営みます、エルフのヒカリです。

別にルベーン以外の店はありませんけど、宣伝効果ですよ。


え、そんな物騒な街で雑貨屋なんて武器とか爆弾とか危ないもんしか置いてないんじゃないかって?

そんな訳ないじゃないですか。ウチはいたって普通の雑貨屋です。


というか、この町はそんなに荒れてませんよ。

あれは人間達のプロパガンダですよ、誇大広告です。


というか、人間を滅ぼせるような魔王様が侵攻したところを統治するぐらいのカリスマがないとやってられませんよ、魔王なんて。

それに、人間達のどこの首都よりも発展してますから、ここ。やっぱり嫉妬じゃないですか、し・っ・と。


まぁ、そんなことはそこらの棚に置いといて、今の私は雑貨屋として商売人として死活問題である暇、なのです。


チリリィン


そう、大口開けて乙女らしからず、


「ファアアアーー、っと」

何て大欠伸が出来るぐらいには。


「なんちゃう大欠伸だよ、嬢ちゃん」


「ファイ?な、ナナナ何でしょうか?」


「どうもこうもねーよ、雑貨屋に来るなんて買い物以外何があるんだよ?」


とんでもない所を見られたのは近所に住むドワーフのトラストさんだ。ここの常連の一人でいつもこの店でタバコを買って行くけど、最近は金回りがよろしいようで、結構結構。


「えー、美人店主を眺めに来た、とか?」


「お、おう。美人て、自分で言うか。てか、嬢ちゃん、エルフとしては中の上だろ。それに、なんだ。そこもそんなだろ」


「な、失礼な!ドワーフに言われたかありませんよ!それに私はまだ成長期です!」


「おうおう、そりゃ失礼した。てか、嬢ちゃんって言うけど、今いくつな・・・。じゃ、じゃあ、そこのワラミ草のいつもの奴だ」

全くもって失礼な親父だこと、ちょっと睨んだだけでもう折れた。


「はいはい、いつものね。全く、ここは禁煙ですよー。それに、まーた、今のを言ったら次は出禁ですよ、出禁!」


「分かってらぁ、でもだよ、嬢ちゃん?俺以外に常連いたっけ?じゃまた来るぜ」

チリリィン  「フッ・・・」


「ちょっとお!?鼻で笑ったなぁ、このくそ親父!」

く、くそ。でも、トラストさんが言うようにここの常連は五指に収まる。

言い返せないのが余計に腹立つぅぅ!バンバンバン!



・・・・・・十分後


ふぅ、大工は数ヶ月前までこの近くに潜伏していた勇者が、嫌がらせの如く魔法を居住区や市場、おまけにこの商業区まで雨あられの様に降らせてた時に建物がいっぱい壊れたりしたらしくて、大儲けしたって聞いた気がする。


くぅうー、うらやましい。

ここ最近は勇者警報も発令されないから儲からないし、ざまぁ(笑)と思ってたけど、嗜好品を買う余地があるなら安泰だな、ちくしょう


あぁあ、流れに乗って大工用品を卸ておけばなぁ、あの親父からも嗜好品ついでに買って行ってもらえたのになぁ、儲け時を逃せばここの家賃の交渉に行かなくちゃいけないし。


今日も店じまいだし、これは要検討ですな。それにしても、三食食べれるとは言えどもモヤシサラダにモヤシ炒め、モヤシのスープには飽きてきたなぁ。

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