第7話
私は自分を抑えるために自分は屑だと言い聞かせ、罪悪感から自分を罰しようとしたため、徐々に精神状態が悪くなっていった。これまで成績が中の上だった私は、高三になってこけた。自分は駄目な人間だと本気で思い込んでしまったために、自信や向上心、自己肯定感等が無くなり、受験の努力をすることができなくなった。ほとんど勉強をしないまま試験だけ受けに行ったが、案の定、受験した大学全てに落ちた。私は浪人したが、状態を改善させることはできず、参考書や問題集を開いた机の前にぼうっとして座ったまま何もしない日々が続いた。二度目の受験は本番を迎えずに終わった。三度目の受験はしなかった。結局ニートになった。私は毎日ほとんどの時間を薄暗い自室の布団の中で過ごした。家族に迷惑をかけていることの申し訳なさ。親に失望されたのではないかという恐怖。同期との比較による劣等感。同期に置いて行かれる不安と焦燥感。ニート生活をしている自分のふがいなさ、情けなさ。自分が嫌で嫌で仕方がない。自分が自分でなければと思う。死にたいとすら思った。紐で輪を作って首を通したことも、高い建物の階段から下を見下ろしたことも、道端の花壇に植えられているイチイの実の種や水仙の葉や球根などを集めたこともあった。だが最後の一歩を踏み出せなかった。
痩せこけた私の生気のないくぼんだ眼は、締め切ったカーテンの向こうがだんだん明るくなっていくのをぼんやり眺めていた。陽が昇って、また沈む。これを何度繰り返すのだろう。疲れた。
自分が滑稽に思えて、かすれた声で笑った。
迷子の意図的な転落 とーとろじー @tautology
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