第6話

高二になると文系か理系かでクラスが分けられた。私や日向は理系だったが、美鈴は文系だったので、教室も遠く、美鈴と会う機会が減った。それでも私と美鈴は、ほんのたまにだが、放課後会って話すことがあった。ある日の放課後、私は美鈴から衝撃的な事実を聞いた。美鈴に新しい彼氏ができたのだという。

「あれ?言ってなかったっけ?一か月くらい前から付き合ってるよ。」

美鈴が付き合っているというのは、美鈴と同じ文系クラスで、日向と仲の良い男の子だった。

「じゃあ、日向とは別れたの?」

「うん、結構前に。なんか、あんまり会わなくなって、自然消滅って感じかな。連絡も全然取ってない。」

「そうなんだ。新しい彼氏ができたこと、日向は知っているの?」

「ううん、知らない。だからなるべく言わないでおいてくれると嬉しい。」

「わかった。」

私は内心舞い上がっていた。美鈴が日向と別れた。なら、私は日向のことを思っていてもいいんだ。自分の気持ちを消そうとしなくていいんだ。

しかし私は日向に自分の気持ちを告白しようとはしなかった。もし日向と付き合えたとしても、日向と上手く話せる自信がないし、美鈴と気まずくなりそうだ。そもそもOKしてくれるかどうか疑問だ。可能性は低い。私は自己暗示のせいで、日向が自分のことを本当に嫌っていると思い込んでいた。第一、日向のことを尊重できない私が付き合っていいわけがない。

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