第5話

私達の通っていた学校は中高一貫校で、高校もずっと一緒だった。高校に上がって一番初めに驚いたことは、日向が男の子になっていたことだった。男子制服を着た日向に会ったときは戸惑った。どう接すればいいのかわからなかった。困惑しながらも、女の子としてではなく男の子として接することに気を付け、これまで通りの対応をするように努力した。しかし私の中で、日向は女の子だった。私は女の子としての日向が好きだった。日向の心の性別を尊重できない自分を最低だと思った。

 学校には日向以外にももう一人、女の子から男の子になった子がいた。その子は中二の時から男の子の制服を着るようになった。私はその子と同じクラスになったことはなく、顔を知っている程度だったが、時々見かける度に女の子らしい体の丸みが無くなっていき、声が低く変わっていった。ホルモン治療をしていたのだろう。

高校では日向と同じクラスになったことはなかったが、会うたびに、日向の体が男の子らしくなってきていないか、声が低くなっていないかと私はびくびくしていた。

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