夜行列車



 あゝ、あなたの歌声は桃の花のように膨らんで今にも胎から溢れてしまいそう。ニンフ達はそこで永遠に踊り狂いながら豪雨の中で赤黒い彼等のその皮膚を切り裂く。

『悪い奴等!悪い奴等!悪い奴等!』

 脳裏の光で目が醒めて雷鳴の馬車に私は轢かれる。夕-1に辿り着いた最終列車、黒い最後の車両では桜が散らないと女が嘆く。

 ひとりのニンフがアマリリスを毟り取り、左手で右側の長い髪に挿し込んで歌う。

『どうか女神のご加護が有りますように。

 女の子はみなすべからく、いつの時も、

 誰だって、そして可憐な夜なのだから』

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