第15話 同居〜井田蔵 友矢〜

私の想いは彼にあって


彼には


私への想いが


存在しない……


私の恋は一方通行だった……




ある日の朝―――――



ドカッ


私の上に人が乗る。




「重…」

「朝だ!起きろ!」


私は起きる。




友矢がここに来てから数か月が過ぎていた。


友矢とはありのまま本音をぶつけ合える。


気楽だと時々、思える今日この頃。





「もっとマシな起こし方ないわけ?」

「ねーな」

「嫌な奴」

「ほら!愚痴ってねーで学校だ。学校。遅刻するぞ!」




私達は準備をし、学校に向かうのだった。



「なあ、藍李、兄貴とはどうなってんの?」

「えっ?」


「…いや…お前…兄貴が好きなのに全然構ってくれてねー感じじゃね?」


「あー…まあ…仕方ないっつーか…正直…複雑なんだよね…」


「複雑?」



「どんだけ辛くても、二人が仲良くしてるの見ると、こっちも嬉しかったし微笑ましかった…私のものにしたいって思ってたけど…二人が別れた途端何処か複雑で…」




「………………」



「つーか、私の事は良いじゃん!そっちはどうなの?」


「俺?俺は…内緒♪」


「内緒って…」




私達は騒ぎながら学校へ向かう。






ある日の事――――




「藍李、これ違うって!」

「えっ?そうなの?」

「馬鹿!綴り違うんだよ!」


「うっさいな!日本人が何故英語を必要とする?日本人は日本語で十分じゃん!」




私達は騒ぎつつも、私は友矢に勉強を教えてもらった。





再びある日の事――――




「やっぱり、17と27じゃ無理なのかなー?」



お姉ちゃんが尋渡に話をしている時に偶然遭遇。




「お互い好き合ってんだし大丈夫だろう?何か、ご不満なの?」


「ご不満というか…時々、不安になる。私よりも藍李の方が合ってんじゃないかって?」


「…陽南…」



「ごめん。尋渡にこんな話」

「いいよ。別に。俺で良ければ話は聞くから」




「………………」



尋渡の心の中には私はいない。


そう思った瞬間だった。



相談するも元々は夫婦だ。


恋バナするには話しやすいのかもしれないけど……




あるの事――――




「ねえ、藍李。どう?今の生活」

「…う〜ん…右にも左にも動けない…」

「えっ?」



「尋渡…お姉ちゃんの事、まだ、心残りだし、どんだけ私の想いがあっても私への想いはない…こんな事なら前の方が良かったかも…」




「藍李…」


「ごめん、ごめん!そんな顔しないでよ!私は待つしかないんだと思う」



「そうか…」




私達は色々話をしながら学校へと向かった。













  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る