第14話 家庭内別居

それから、家庭内別居となり、ある日の事―――――



「おふくろ。話があるんだ」

「何?改まって」


「弟の友矢も、一般暮らそうと思うんだけど…アイツ…一人暮らししてるし、どうかな?と思って」


「それは構わないとは思うけど…あなたは良いの?」



「えっ?」

「だって、元々、陽南ちゃんは…」

「今、アイツが求めているのは俺じゃないから」

「そう?分かったわ」




ある日の事――――




「なあ、このクラスに、羽那山 藍李っているだろう?呼んでくんね?」


「はい」




私は男子生徒に呼ばれ廊下に出る。




「はい…うわっ…!あんた…尋渡の…」

「ちょっと良いか?」


「何?改まって。お姉ちゃんの事?お姉ちゃんの事なら兄弟で話し合いなよ」


「いや、その話をしに来たんじゃねーよ!ちょっと昼休み時間作ってくんね?無理なら、連絡先、教えろ!」


「やだ!」


「なっ…!お前な〜…」


「とにかく教える気ないので!知りたかったらお姉ちゃんか、尋渡にでも聞いたら?」


「ムカつく妹だな」


「それじゃ!」




私は教室に戻る。





昼休み。


私は彼の教室を訪れた。




「あのー、このクラスに井田蔵 友矢って…」


「可愛い〜♪君、友矢の何?女?」

「アイツ取っ替え引っ替えしてるからな〜」

「何番目?」



数人の男子生徒に囲まれる。



「私は何番目とか、そういう関係じゃありません!」



「そうなんだ」

「つーか…可愛いよりも美人系?」

「確かに」

「案外、アイツのストライクゾーンじゃね?」



《ストライクゾーン…って…》




「で?アイツなら今いないけど?」


「いない?帰ったの!?」


「いや多分、屋上じゃね?」

「屋上にいないなら…裏庭とか?」

「アイツ一匹狼だからな〜」

「でも授業はキチンと受ける奴だし」



「えっ!?」



意外な言葉だった。



「まあ、とにかく行ってみれば?帰ってるって事はないと思うけど」


「分かりました。ありがとうございます」




私は屋上に向かう。


すると、女子生徒とイチャイチャしている。




「お姉ちゃんいながら…なんて奴!ちょっと!あんたは、何人の女がいるわけっ!?」


「あれ?どうしたの?」


「いや、結構です!お邪魔みたいなので失礼します!」


「別に、そういう関係じゃねーし。悪い、席外して」


「うん、分かった。じゃあね〜、友矢」


「ああ」




女子生徒は去って行く。



「で?何?」


「話があるって言ってたから足を運んで来てやったの!つーか、彼女、良かったの?」


「アカの他人に家族の話、聞かれたくねーし」


「そう…なんだ…」


「一応、家族であり義理妹(いもうと)だし」


「まあ…それで?話って何?」


「あんたは俺を迎え入れてくれんのかな?って」


「えっ?」


「姉に手を出し、一応、兄貴である尋渡とは血の繋がりねーし、父親の連れ子だった俺を、今更受け入れんのか?って話」



「あー…」



「俺、兄貴みたいに真面目の良い子じゃねーし、不良寄りの17の高校生の子供(ガキ)。10も違う、お前の姉に手を出した。まあ、陽南の事は本気(マジ)だし。公認じゃねー限りは…幸せは遠いけどな」



「私は別に気にしないよ。だって、結局は両家の親の問題じゃないの?後、尋渡とお姉ちゃんと、友矢、あんたの問題でしょう?」



「えっ?」



「将来の事を考えてるなら尚更、自分の素直な気持ちキチンと全て考えている事とか話せば?私が、どうこう言う事じゃないし…私、まだ、16だし…複雑な家庭だって事は何となくしか分かんないし…」





頭をポンとする。


ドキッ



「近々、あんたの所に行くよ。じゃあな」


「待って!」


「何?」



スッと私はメモを渡す。



「連絡先…」


「連絡先?教えるんだ」



メモを受け取りながら言う。



「だって!あんたが言うから!いらないなら返し…」




スッと上にあげる仕草をされイジワルをされる。


取りたくても、私の身長じゃ届かない。


尋渡と違って、身長が高い彼。


頭1つ?2つ分位はあるだろうか?


正に身長差だ。




「ちょ、ちょっと!」

「残念でした~」

「ムカつく!」


「後で俺の連絡先、送っとく。登録しとけ!羽那山藍李さん」



そう言うと去り始める。



「ちょ、ちょっと!」

「何?」

「お姉ちゃんの事、頼んだからね」

「言われなくても」

「本当に大丈夫?」


「何でだよ」

「女、取っ替え引っ替えしてるから」


「女友達多いから、そう思われてるだけだし!そういう噂流れてんだろ?」



「………………」



「疑いの眼差し…」

「別に、そんなつもりはないけど…」




その時だ。


屋上のドアが開いた。



「でさー……」




グイッと私の手を掴み、足早にそこから去り、私を抱きしめるようするとに物陰に隠れる。





ドキッ…



スッポリと胸に収まる私。



「ちょ…」

「しっ!黙ってろ!」


「……………」



様子を伺う友矢。


今、屋上に来た男子生徒を見つめながら、私の肩を抱き寄せるようにゆっくりとその場から移動する。


出入り口の所まで来ると、ゆっくりとドアを開け、私を先に入れ、すぐ後を追うように入って来た。



「悪い」

「ううん…別に良いけど…」


「あの人、一個上の先輩なんだけど、ちょっと訳ありだから気を付けて行動しねーと」


「そうなんだ」




私達は色々と話をしながら移動し、別れた。











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