EPISODE4 異世界門《ヘブンズゲート》

「中国艦隊一万隻殲滅完了! 敵側の兵員は自動ドローン機で人命救助して、中国に送り返しておきます」


 話は再び、2025年8月21日に戻る。

 AIの妖精ルナとセブンシスターズの各AIから次々と報告が入ってくるのを、メガネ提督はじっと聞いていた。

 結局、光回路を使用した超高速量子コンピューターを実装したAIの妖精ルナ達セブンシスターズのハッキングによって、電子制御系を乗っ取られた中国艦隊は、身動きもできずに壊滅した。

 ロシア艦隊も同様である。

 その後、核ミサイルの発射も行われたが、そちらの方は起動さえできずに沈黙し、電磁パルス(EMP)ドローンの餌食になって電子制御システム自体が破壊されてしまった。

 量子コンピューターを実装したAIの妖精ルナ達セブンシスターズの出現によって、戦争は始まる前に決着つくような時代になったのだ。


 メガネ、夜桜提督の空中空母<天龍>、<地龍>は無数のドローン兵器に守られながら、悠々と日本海を渡って、中国大陸南部の<魔都上海>に到着しつつあった。


「<魔都上海>の異世界門ゲヘナゲートに重力変動あり。時空震が来ます!」


 空中空母<天龍>の制御統括する光の天使の姿を持った天使型AI<フローレンス>が危機を告げた。

 直後に、空中空母<天龍>の船体が見えざる大きな波動のようなものを受けて大きく揺れた。

 同じタイミングで、天空に青い光の魔法陣が出現し、その中心から細長く巨大な三角錐型のエメラルド色の物体のようなものが光を放ちながら下降してきた。


「只今、天軍第二軍、大天使長<ガブリエル>隊、地球に到着しました。後続の天軍主力部隊のために、旗艦<エメラルド・ディステニー>はここに留まり、異世界門ヘブンズゲートを安定化します」


 天軍第二軍、大天使長<ガブリエル>の参謀長メリクルから光子通信が入る。

 エメラルド色に輝く、大天使長<ガブリエル>旗艦であり、天軍最強の防御力を誇るソードシップ<エメラルド・ディステニー>が姿を現す。

 その後からも異世界門ヘブンズゲートから、ソードシップクラスの戦艦が次々と現れてきた。

 その船体は巨大で空中空母<天龍>の十倍ほどの大きさで、ひとつの都市が移動しているような威容を誇っていた。


「天軍第四軍、大天使長<ウリエル>隊は、すでに<魔都上海>付近に次元転移ワープアウトしてます。即時突入するとか言ってます」


 と報告する参謀長メリクル。


「勘弁してよ。はやる気持ちは分かるけど、突入作戦の手順は守って欲しいわ」


 と嘆く大天使長ガブリエル。


「先に行って、ウリエル隊を援護するよ」


 という天軍第三軍<ラファエル>隊の大天使長ラファエルも到着したようだ。


「天軍第一軍、大天使長<ミカエル>隊の旗艦<ミルイール>、只今、地球の目標地点に到着しました」


 異世界門ヘブンズゲートから、ソードシップクラスの戦艦の更に十倍ほどの惑星級スターシップクラスの母艦も姿を現す。

 巨大な時空震がメガネ、夜桜提督の空中空母<天龍>、<地龍>までも揺らしていた。

 天軍第一軍、総司令の大天使長ミカエルの旗艦<ミルイール>である。


「メガネ君、戦闘準備は整ってる?」


 天軍総司令の大天使長ミカエルこと、天使名システィーナがついに地球に降臨した。

 まあ、この前も安東要総理と東北の方に旅に行ってたけどね。


全て準備完了オール OKですよ」


 あまりにも頼もしい友軍にメガネはちょっと胸熱になっていた。

 敵である秘密結社<プロミネンス>が地獄ゲヘナ異世界門ゲヘナゲートを開くなら、こちらは異世界門ヘブンズゲートを開いて、天使たちの天軍を召還すればいい。

 ということで、日本というか、世界というか、銀河系の存亡を賭けた最終戦争ハルマゲドンがついに幕を開けた。








(あとがき)

 

 何となく、勢いで書きましたが、何とか締切りに間に合って良かった。

 話が長く完結させるのは無理なので、プロローグとエピローグを書いてみました。

 応募規定で完結が必要条件になってないので、連載中にしています。

 天界での戦いの話はこちらに書いています。


 魔導天使~グノーシスの黙示録~ 作者 坂崎文明

 https://kakuyomu.jp/works/4852201425154959922

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大東亜戦記 坂崎文明 @s_f

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