第2話 キューブ
「…ここは?」
気づいた時には、もう遅かった。彼女は見知らぬ場所にいた。
「2人は!」
幸い、すぐ近くに奈々美がいた。しかし梨華がいない。
「大丈夫⁉︎」
「…ん?結衣…」
「よかった。梨華はどこ?」
「わかんない」
「そっか…、早く探さなきゃ。けどここどこ」
周りを見ていると、赤く光っている柱がたくさん立っていた。床は白く、上の方を見ると、漆黒の闇に包まれている。
「何ここ…、まあとにかく梨華を探そう」
彼女は奈々美を抱っこすると、歩き始めた。
しばらく歩くと、紙が置いてある机があった。読んでみる。
「…この手紙を読んでいるということは、あなたも落ちたのだろう。これ以上犠牲者を出さないため、脱出方法を残しとく。まずここには4つのキューブがある。それを全て見つけ、そこの隙間に嵌めろ。そしたら出…え⁉︎」
なんと出という文字で終わっていた。
「どういうこと?」
「ねぇ怖い」
「うん、私だって怖いよ」
後ろの壁にちょうど嵌りそうな隙間があった。
「これかな。とにかくキューブを集めればいいんだ」
2人を先に進んだ。おぼつかない足取りでキューブと梨華を探した。
しばらくすると、大広間に出た。
「やっと広いとこに出た」
まずキューブというものがなんなのかイマイチよくわからない2人は、とりあえず目立つものを探した。
「あれじゃない?」
奈々美の指差す方向に、コンテナがあった。
「なんでコンテナ?」
触ってみると、すぐ動いた。かなり軽いコンテナだ。
「この中にあるのかな」
「どうやって開けるの?」
「…鍵がかかってるみたい」
こういうホラー系お決まりの鍵が必要らしい。
「どこにあるかな」
「探してみようか」
しばらく歩いていると、白く光る床があった。
「何これ」
「結衣あれ!」
奈々美は上の方を指した。
「え?ん?えぇ⁉︎」
上の方に誰かがいた。暗くてよく見えなかったが、誰かはいた。何者かはこちらの存在に気づくと、消えてしまった。
「なんだったの」
「うん…わかんn⁉︎」
背後にテレビがあった。さっきまでは無かったのに。
「テレビ?なんでここに」
「ねぇ、誰かが手を振ってる」
画面には誰かが手を振ってる映像が流れていた。
「何これ……趣味悪っ」
「ねぇ、トイレ行きたい」
「えぇ今⁉︎」
結衣は周りを見渡したが、何もない。それどころか、さっきの赤く光っている柱までなかった。
「ここどこ⁉︎」
「トイレ〜」
「もうちょっと我慢できる?」
「できない!」
「じゃあ、できたらチューしてあげる」
「⁉︎…じゃあ我慢する!私我慢する!」
なんて純粋な…、私は感動しました。
「じゃあ頑張ろうね」
2人とも鍵を探したが、どこにもない。
「そこの上ある?」
「なんにもないよ」
棚の上、タンスの下、着ぐるみの中など、どこを探しても見つからなかった。
「どこにもないよ〜」
「あんまり声出しちゃダメ。さっきの紙が気になるし」
彼女は不自然な手紙の終わり方に疑問を抱いており、もしかすると何か危険な何かがいるかもしれないと考えていた。
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