恐怖の縦穴

まめでんきゅう–ねこ

第1話 恐怖の縦穴

「奈々美ちゃん、今日公園行こう」

「え、でも梨華ちゃん、今日は留守番するんじゃないの?」

「大丈夫だよ。バレなきゃOK!」

奈々美と梨華が下校していた。どちらも1年生だ。

「こら、梨華ちゃん。ちゃんと留守番しなきゃダメでしょ」

5年生でこの中では1番年長の結衣が言った。

「え〜、でも結衣も本当は遊びたいんでしょ?」

「………、あ〜、ダメダメ。留守番しなきゃ」

「いーじゃんいーじゃん。行こう行こう」

結衣は仕方なく、2人に付き合うことにした。

「何して遊ぶ?」

「鬼ごっこがいい!」

「いいよ。じゃあ私が鬼ね」

結衣は数字を数えた。奈々美と梨華は逃げ始めた。

「2…1…。さぁ、どこかな〜」

「何してんの?」

突然幼馴染の累が現れた。

「ちょっ、累⁉︎」

「いや、お前こそ公園でなんで数字数えてんのか…」

「いや、これは1年生の遊びに付き合ってるの。大丈夫だって」

「今年の1年面倒だよな。まあ頑張れ」

累は歩いていった。

「…さあって、捕まえるぞ〜」

「わぁいい、こっちこっち〜」

意外と1年生2人が速いことに結衣は驚いた。彼女も足が速いほうだったのだが、まさかのこの2人は彼女と互角である。

「え?速っ」

息を切らしてベンチに座った結衣を見て、奈々美と梨華は笑った。

「結衣って意外と遅いんだね」


結衣って意外と遅いんだね


結衣って意外と遅いんだね


「え?ま、まあね」

苦笑いして誤魔化す結衣、彼女のメンタルはボロボロだ。

「喉渇いた」

「え?じゃあ水筒飲めば?」

「もう飲み終わっちゃった」

「2人とも⁉︎」

「うん」

「ぇぇ、じゃあ私のをあげるよ」

まさに理想の先輩だろう。僕もこんな人と友達になりたかった(泣)。

「そろそろ帰ろっか」

「うん」

流石にそろそろ暗くなってきたので、結衣は帰宅を勧める。

「送ってくよ」

「わーい。ありがとう」

彼女たちは手を繋ぎあって、家へ向かう。

「(この子たち家に送ってくと多分帰れるの6時くらいだなぁ)」

そう思いながら、2人のペースに合わせて歩く。

やがて十字路に着いた。

「君らどっちだっけ?」

「こっち」

梨華が左を指した。奈々美は右だ。

「(えぇ)」

真逆の方向に家があることに絶望を感じた結衣は、急いで着くために、2人を抱っこして早歩きし始めた。

「わぁい、結衣力持ち〜」

「あんまり暴れないで」

2人を抱っこしてるため、あまり前が見えない状態だった。

その時…。




「え⁉︎」

穴があった。

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

恐怖の縦穴の、始まり始まり。

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