第19話 悪魔襲来 【Side アルディ】

 帝都学院の敷地内にある古代迷宮。今期は俺の預かる白狼第二騎士団が警備と探究の任務についていた。


 白狼騎士団が帝国最強騎士団を名乗れるのは、この古代迷宮で魔物相手に実践を重ねている事が大きな理由の一つだ。


 古代迷宮の深層階は俺でも苦戦する魔物がうようよいる。帝都の警備しかしていない青狼騎士団とは実践経験が全然違う。まあ、あそこの隊長シルヴィスはうちの隊長並みにヤバいヤツだけどな。


 その古代迷宮から激しい爆音と地響きで、俺は古代迷宮区画内に建てられた、白狼騎士団の詰め所から飛び出た。


 外には他の騎士団員達も飛び出していた。


「インプに、アークデーモンだとぉ!? 何が起きたッ!」


「古代迷宮内で轟音が響き、その後に魔族が大量にダンジョン内から飛び出てきました」



 見れば数百の低級魔族が古代迷宮の入り口付近の空は、コウモリの羽を持つインプとアークデーモン達で覆い尽くされている。



「伝令走れッ! 学生達に表に出るなと伝えろッ! それから市民にもだッ!」



 避難指示がよかったか? いや、相手は空を飛ぶ魔族だ。避難中に襲われたら混乱は加速する。それよりもだ、古代迷宮を囲むこの敷地内から出さない事だ。



「魔法部隊を配置! お前らは弓を持て! ここで食い止めるぞ」


「「「はいッ!」」」



 しかし、何だって魔族が……。





 結局、この古代迷宮区画では抑えきれなかった。空を飛ぶアイツらにどうしても撃ち漏らしが出てしまう。


 特にレッサーデーモンが厄介だ。災害レベルA級の魔物だ。魔法や弓が一、二発当たっても落ちてきやしない。


 街の方は侯爵家の私兵で対応してはいるが、レッサーデーモンには手をやいている筈だ。


 詰め所前に拵えた仮説本部。俺もここから出て悪魔どもを切り倒したいがそうもいかない理由がある。 



「今日、迷宮に入っている奴らの状況は分かったか!」


「そ、それが……」


「どうした」


「先ほど迷宮から脱出してきた学生パーティから報告がありました。黒狼のアルマドックが引率しているパーティが三階層の封印の間に向かっていたとの事です」


「んだとおッ! それで他のパーティは?」


「彼ら以外は、何とか迷宮から脱出できています」


「状況は分かった。アルマドック達は三階層の封印を破った後に、転送のトラップに引っ掛かったんだ。それで深層階の魔物を呼び込んでしまった。アイツはもう生きちゃいねえだろ」


「それともう一つ報告があります。学生達の話しによると――――」


「――――だと!? 街へ連絡しろ! 全市民退去だッ! この街は壊滅する! 帝都に伝令だッ! 応援を要請しろッ! お前らも市民の避難の護衛につけ! 俺はクローディア様に報告し、学生達と避難をする! 復唱はいらない。分かったな!」


「はい!」



 アルマドックの野郎、えらい化け物を呼び寄せやがったぜ。


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