第10話 帝都強襲 【Side エステル】

「エステル様、南大通りの避難完了しました」


「東大通りは?」


「あちらは本日が祭りの為、人通りも多く未だ避難が終わっていません」


「急がせろッ! アイツの一吹きで何百という帝都民が死ぬぞ!」



 クソ! 何で帝都上空にレッドドラゴンが飛来するんだ!



「グラーニュスの丘はどうなっている!」


「ただいま魔法部隊が配置に着きますが、騎士団がまだ城門を出たばかりですので、まだ時間がかかるものと思われます」


「チッ、装備に時間が掛かったか」



 帝都防衛は我々、青狼騎士団の仕事だ。しかし団長不在の時に来るとは。


 帝都上空を飛ぶレッドドラゴン。街中からの攻撃はアイツの反撃で要らぬ被害を出しかねない。城にでも降りられては危急存亡のときだ。


 魔法部隊をグラーニュスの丘から攻撃させて騎士団で迎え撃つ。我が騎士団に多大な被害が出ようともやらねばならぬ。向こうには剣豪の副団長もいるから何とかしてくれると信じよう。


 しかし、これには時間がかかる。帝都民の避難もままならない。クソ! 気持ちばかりが焦る。


 本当であれば妹のレティシアを城門で迎えてやる予定だったが……。


 空を見上げれば、我が物顔で翼を広げる憎たらしいレッドドラゴン。やはり先日、黒狼騎士団が王様に献上した、ドラゴンの卵が魔物を呼び寄せたか?

 


「えっ!?」



 アレ?


 私は目をこすってもう一度良く見る。


 嘘ッ!


 真っ二つッ!?


 何ッ!


 何何何何何何何何何何何何何何何何何ッ!?


 悠々と空を飛んでいたレッドドラゴンがいきなり真っ二つになった?


「何ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃッッッッ!?」




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