第21話

恥をかくのはあなたたちだと私は言った。

「私は彼女から聞きましたよ。あなたが不当なお金を持っていることを認めたと」

 確かに私が彼女に関する依頼を代理人にしたときに、彼女はそのように述べたと言った。私も飲み会で口を滑らせてしまったことも事実だ。ホテルで画面を見ているとき、彼女は持っていないと主張することは無理よと言った。一度認めてしまって、お金の出処を探ろうと言った。減額交渉をしようと言った。私は焦る彼女を見ていると代理人と彼女がつながっているように思えた。そのことを聞くと、

「そんな馬鹿な真似をすると思う?」

と彼女は言った。私を信じてと言って私の手を握り涙目になっていた。私はどうにでもなれと思った。結局お金をどの程度持っていかれることになろうとも彼女を信じてみようと思った。私は単純だった。

「確かに私はお金をもっています。返却が必要と思えるなら私は返そうと思います。その金が本当にあなたの依頼主の物であるとする証拠を見せてください」

と言った。私がが言っている言葉が私の言葉でないような気になった。心の中で大金を認めたことで取られてしまうかもしれない恐怖で声が震えた。

「なぜそんなことが必要なんですか?」

 と彼が言った。

「依頼主のお金でないと返せない」

 と私が言った。

「何様つもりですか?捜査機関のつもりですか?」

「単にお金を横取りしたいだけではないか確かめる必要があります」

 と私が言った。

「盗人猛々しいですね」

 と彼が言った。

「こちらの口座の出金記録でいいですか?」

 と彼が提案した。

「それでは証明になりません。お金が間違いなくあなた方の

お金であった証明が欲しい」 

 と私が言った。

「何を示せば証明になると思いますか」

 と代理人が尋ねた。

「私を納得させてほしい そうしないと渡しません」

と私が言うと、沈黙が続いた。

「警察か裁判所にお願いしましょうか?そうしないと話が進みませんね」

私は相手方の方が表には持ち出せない話だと踏んで、画面越しに代理人を見ていた。

「分かりましたこちらから何かいい提案ができるか依頼主と相談します。

また連絡します」

と代理人が言った。 ところでとさらに代理人が言った、

「次回はロボットではなく本人さんにきてもらいたいです」

彼の目の前にいる私がロボットであることに、代理人は気づいていたようだった。私は何も答えなかった。代理人は次回の話し合い件に関してまた連絡すると言って席を立った。

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