第20話

「あなたは何が目的ですか」

と私が尋ねた、

「あなたが手に入れたお金を返却いただきたい」

「私はお金を手に入れてはいない」

「映像を見たでしょ?」

「見ました」

「あなたがお金を手に入れた証拠です」

「お金自体は映っていないですよね」

「箱にお金が入っていた映像もあります。いい加減認めてください」

「何度も言うようにお金は入手していない」

と私が言った。彼はお金の写真を見せた。彼女もその映像を食い入るように見てた。

「なぜこの写真があるの?」

 と彼女が言った。

「あなたははめられたのかな」

 と彼女が予想した。

「はめるなら、お金を置くような罠はかけないのではないか?リスクが大きすぎる」

「そうねこの大金の所有者を確かめましょう」と彼女が言った。

「びっくりするほどのお金ですね」

と代理人が言うと、彼が依頼人から聞いたという金額を言った。彼女はその金額を聞くと、私を見て「小さい男」と私の頭を叩いた。少しくらいお金を分けろという意味だった。確かに通帳に示された金額と一致した。

「あなたは何が目的だ」

と代理人に尋ねた、

「金の返却をお願いしたい」

「私は持っていない」

「あなたは持っている」

 私は話をしても無駄なように思えてきた。

「これ以上話をしても無駄ようです。退席してもいいですか?」

「今後新たな映像を出しますよ」

「何も悪くないからあなたが好きにすればいい」

と私はロボットを通して言った。しかし彼女が相手の話を聞くようにと私に言った。

 私は少し興奮していたが、その言葉で少し冷静になった。

「あなたは確か代理人と言いましたが、誰の代理人ですか?」

と私は気を取り直して聞いた。

「ある方の代理人です」

「あなたがお金を手に入れたことを認めるなら、

 こちらの依頼主について話しましう」 

「私も代理人業をしている者です。不当不法な依頼は受けません」

「私が無駄と言って席を立つなら次の一手は?」

「そうですね。お金の所在の公表でしょね。まずは世間に訴えることになる」

 私はこれ以上ネットで意味不明な動画を流すなら名誉棄損で訴えることになると伝えた。 

「待ってください。被害者こちらだ。どんなにあなたが主張しようとも、元は依頼主のお金です」

「依頼主が訴えたとしたらそちらは勝てますかね?」

私には筋違いの訴えを裁判所は認めるとは思えないと言った。

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