第11話
私はロボットを持って行かずに仕事へ出かけるようになった。これ以上面倒になるのが嫌だった。しかし段ボール箱を持ち込んでカメラだけをセットした。わざと箱を触るような動作をしてそのまま置いていた。私が離席したときに係長が箱を開ける姿が映像に入っていた。覗いているつもりが、見られている人間は馬鹿と書いた紙を中に入れておいた。私は次の日も同じようにカメラをセットしたが、箱を開ける映像は写ってはいなかった。仕事は食堂でするようになった。係長も何も言わなくなった。まさか紙を見て自らの愚行に気づいたのか本当に不思議な人物であった。
しばらくして私は課長と係長から別室に呼ばれた。世間話から始まり、最近私の仕事が速いとの話がでているとの話題が出た。
「ロボットを使って仕事をしているとの話がある」
とのことだった。私は仕事が済めばよいから究極的にロボットが仕事を行ってもいいでのはないかと言った。すると、
「しかし一人の人間だけがそのような援助を受けることは不公平と考える」
とのことだった。私はロボット使っていない。そんなものがあるなら見せて頂きたいと言った。私は嘘を言っているのだが、全く後ろめたさが無かった。私は仕事時間この会社に来ている、また頼まれた仕事はこなしている。上司を前にすると何も問題ないと強気に思った。また私が所有しているロボットだ。しかし唯一お金の出処には不安があった。課長は上とも話し合いが済んでいると言って、
「ロボットを会社で買い取ることはできないか」
と言ってきた。所有権は私のままでいいが、時間内は会社のロボットとして使えないかという提案もあった。私はロボットを持っていないと答えた。しかしその金額が気になって教えてくれるように言うと、一度会社にロボットを渡して、性能を確かめさせてもらってから算定することになるとのことだった。私は架空の話ではあるが、腹立てて断って話し合いが終わった。またその話し合いの中で、私の配置転換を考えていることもほのめかされた。
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