第10話

 部署に戻ると会社も流石にカメラの存在には気づいたかも知れないと思った。カメラがついているので、窃盗した人物を特定できますと言って、段ボール箱を掲げた。勿論それは偽物で何も内臓していないただの段ボール箱だった。係長は黙って聞いていた。すぐに係長は電話が鳴り外に出ていった。私は帰りの電車の中で映像を確認した。映像と音声にはロボットが運ばれる音がして箱から取り出されたときは人事部内であった。

「これがそのロボットですか」

「あの店でつくられたらしい」 

「あの店の店主は開発するかもしれないな」 

「書類処理の出来はどうなんですか」 

「周りの者の話ではおそらくこのカバーが開くとスキャンができるかもしれない」

「なるほど しかしカバーが開かない」 

「何らかのロックがかかっている」

「これはカメラの可能性があるな」

「この映像も取られているかもしれない」 

「音声も取られているかもしれないな」 

「持ち主は何も言ってこない?」 

「聞いているかもしれないなこの会話」

「おそらくこのカバーの下にネジなどの接合部があるんだろうな」 

「あの博士ならこの程度のものをつくる可能性があるな」 

「会社には売らないと言っている」 

「しかし値段は安くはないぞ。簡単に出せる金額ではない」 

「車よりも家の金額かもな」 

「しかしなぜその社員はそんな金をもっているだろうな」

「彼がどのような仕事をしているかわかりますか?」

「なるほどこれらの書類からこの書類をつくるんですね」

「なるほどね 同じものをうちに今作れと言われても無理だな」 

「持っている技術が違うね」

「この中身を見せられてもおそらくわからないかもしれない」

「遠隔監視をされているかもしれないな。それくらいの

 ことはできるかもしれない彼なら」

「どの程度の技術を持っているかは分からない」

「女性のロボットが飾ってあったらしいが、その手の趣味もあるかもね」

「女性店員もロボットと言っていた」

「その女性は以前私の会社でも働いていたから人間ですだよ」

「うちを辞めた後であの店で働いている」 

「普通に行っても売ってくれないだだろうね」

「個人に売ろうとしている」

「企業だとトラブルの処理が難しくなるからな」

そう話しているとき、警報音が鳴った。

「どうします」

「このままここに置いているのはまずいだろう」

「彼の席まで戻せるか」

「彼が探し始めているそうです」

「まずは外に出そう」

「この部屋に入ってこられたらまずいな」ロボットが箱に入れられた。

 映像を見終わると私はどうしようか考えた。 私の荷物を勝手に開けられたとて大   した罪にはならない。物は私の手にあるのだから、警察は動いてはくれない。あいつらに仕返しをしたいと思うが上手い方策が分からなかった。

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