第9話
私は自分の物が勝手に運ばれていることに腹が立ったが、ここで事を荒立ててはいけないと怒りを鎮める気持ちが強かった。次の日は長めに机にいた。取り込み済ませてロボットが処理を済ませ、それを点検する仕事をした。もう既にほとんどミスは無くなっていた。項目から見積もり書を表付きで作成していた。また内訳書をミスなく作成できていた。私は打ち込まなくていいから断然仕事は速く進んだ。書類のロボットへの取り込み作業が目につくと面倒だから、別の部屋で行うようになった。私が机を離れると周りの視線を感じた。
「最近仕事が速いと噂ですよ。それ何か特別な機械ですか」
と名前も覚えていない若手が話しけてきた。
何でもないよと答えた。私は話をしたくなかった。
私は博士に連絡して取り込み作業をどうにかできないかと尋ねた。書類をロボットに認識させるためには映像イメージが必要だから取り込み作業だけは必要ということ、また書類が元々データなら、ロボット自体は別の場所に置いても可能なように作り替えることができると言った。その改良に必要な費用を聞くと僅かな金額であった。自宅に置いておくことは可能かと尋ねると、可能ではあると答えが返ってきた。しかし時間が必要でしばらくは無理だとのことであった。
その後も私はロボット持参で会社に出社を続けた。ある日博士から連絡がきた。会社の人事部門の人間が来て、ロボットを売ってくれるように話をして帰ったとのことであった。どのような仕組みでできているのか等を聞いてきたとのことであった。博士は絶対に操作をさせないようにと言った。私は部署の机に戻ると机の下に置いてあったロボットが無くなっていた。私は誰か知らないかと尋ねた。するとどんなものですか?何に使うのですか?などのわざとらしい質問が来るばかりで、当然誰も物の居場所を教えてくれなかった。私は係長に知りませんかと大きな声で尋ねると係長は知らんと答えた。私は警察に届けますよといっても知らんとの答えがきた。私は警報音が鳴るようにパソコンから操作した。博士が見つけやすいよう機能を着けていたのだった。GPS機能もあるが、ビルのなかでは判別が難しかった。警報音を探して会社中を探した。結局階上の人事部門の部屋の前にある段ボールの中から見つかった。私は誰がこんなことをしたのか知りたくなって、人事部の扉を開けて中を見ると、知らない外部の人間と人事部の人間が話をしていた。私の荷物がここにありましたが、誰か知りませんかと尋ねると、知らないとの声が返ってきた。そうですかと言って扉を閉めた。
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