第3話 お弁当のおかず

流星と一星.....か。

名前が良いな、って思ってしまう。

流星に一番星だしな。

だけどそれなりに.....悩んでいる様だ。


「.....こんなに女の子に慕われたのは.....アイツ以来かな」


俺は考えながらそのまま苦笑する。

そしてリビングで真理子の手作りのご飯を食べていた。

真理子は?を浮かべて俺を見てくる。

どうしたの?お兄ちゃん、と言いながら。


「.....ああ。ちょっと一星と流星の事を考えていた」


「そうなんだね。.....でも凄いね。お兄ちゃん。また命を救ったんだって事が」


「.....まあそれだけ親父とお袋のあれがあるから。受け継いだものがな」


「.....そうだね。.....パパとママは忙しいけど.....本当に親として最高だよね」


その言葉を真理子は、エヘヘ、と自慢げに話す。

俺はその姿を見ながら笑みを浮かべた。

そして、でもこういうご飯の時も一緒が良いな、と少しだけ寂しげに話す。

それは確かにな、とは思う。


「.....でも我慢しているのは偉いぞ。真理子」


「.....うん。もう小学6年生だから。.....こういうのは慣れないと」


「.....そうか」


そんな会話をしながら俺達はたらこパスタを食べる。

それから笑みを浮かべあった。

だけどな、と俺は切り出す。

そうしてから真理子を見つめる。


「俺としてはお前が心配だから。.....だから何かあったら必ず言えよ」


「そうだね。有難うお兄ちゃん」


「.....お前は俺の自慢の妹だからな。.....だからそれなりに心配だ」


「.....うん」


俺達はそんな感じでまた笑み合う。

すると、ねえ。お兄ちゃんはまた恋をしないの?、と聞いてくる。

俺は!と思いながら真理子を見る。

まあ.....そうだな。


「.....そんな事をする勇気は無いな。.....何だか贅沢に聞こえるかもしれないけど」


「.....そうだね。でもそれでも良いと思う。私は」


「.....そうかな」


「.....うん。恋をしないで死なない訳じゃ無いから」


そんな言葉を受けながら俺は頬を掻く。

それから、だよな?、と言う俺。

それに対して、うん。だよ、と答えてくれた。

俺はその言葉に頷く。


「良い相談相手が居るよ。俺も大概」


「私は子供だから恋なんて分からないけどね」


「.....いや。それでもお前は女性だからな。相談相手には.....もってこいだ」


「.....そっか。そう言ってくれるんだね」


「ああ」


俺はそのまま飯を食い終わってから、よし、と決意する。

皿を水に漬けてから。

それから立ち上がってから、じゃあ勉強してくる、と告げてから。

そのまま2階に上がった。

頑張ってお兄ちゃん、と声がしてくる。


「.....頑張らないとな」


考えながら俺は勉強をしようと自室に戻る。

すると電話が掛かってきた。

なんとそれは流星である。

俺は見開きながら慌てて、もしもし。どうしたの?、と電話に出る。

流星は、もしもし。えっと。これは.....ミチルくんの携帯ですか?、と聞いてくる。


「.....ああ」


『今日は本当に有難う御座いましたってお礼が言いたくて』


「早速使ったんだね。電話番号」


『うん。お話ししたいなって』


電話番号、アドレスを交換した。

のだが.....こうして掛かってくるとやはり緊張してしまう。

女子から、だ。

俺はドアを背にして座る。


「元気かな。今日はあんな事があったけど」


『.....私はもう大丈夫。お母さんとお父さんに怒られたけどね。かなり』


「.....そうか。.....でも良かった」


『.....うん。.....あ。えっと。その』


「.....?」


明日のお弁当のおかず.....何が良い?、と聞いてくる流星。

俺は赤くなりながら、本当に作るの?、と聞く。

すると流星は、だって約束だから、と話した。

嬉しそうに。


「ハンバーグとかあったら嬉しいけどね。.....でも俺はそんなに食べないよ」


『分かった。じゃあハンバーグ、唐揚げとかだね』


「.....うん。.....でも無理はしないで。俺は大丈.....」


『いや。絶対に作るから。期待して』


何故そんなに強く言うのかよく分からないが。

俺は考えながら苦笑する。

それから俺は、でも有難うね、と言う。

すると、うん。大丈夫だよ、と言葉を発してくる。


「.....とんでもない出会いだったけど.....この出会いは良い出会いだったね」


『わ、私にとっては最高の.....出会い.....』


「え?」


言葉が曖昧で聞こえない。

俺は首を傾げて、何?、と聞いたが。

何でもないよ、と強く言ってくる流星。

俺は、そ、そうか、と返事をした。


『.....でも本当に有難う。私を救ってくれて』


「.....君が死ななくて良かったよ。本当にね」


そして、じゃ、じゃあね。お邪魔だと思うからね、と電話を切ろうとする。

俺はそんな流星に、おやすみ、と告げる。

すると嬉しそうに流星は、おやすみ!、と言ってきた。

苦笑しながら俺は電話を静かに切る。

それから頬を叩いてから机に向く。

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