第2話 流星と一星
流星は.....家の事で悩んでいるそうだ。
成績の事が伸びないから悩んでいるそうである。
俺はその事を流星から聞きながら。
共に河川敷を歩いていた。
「.....でもそんなつまらない世界だって花はあるんだね」
「.....それは俺の事か?.....俺はつまらない人間だから。.....でも君は違うから引き留めたんだ」
「.....私.....悩んでばかりだった。.....本当に嫌な人生だったと思う」
でもその中で貴方に出会って。
私は.....とても心が温かくなった。
ほんの少しだけでも温かくなったっていう事を君に知ってほしい。
と言いながら俺を見てくる流星。
俺は、そうなんだな、と答えながらその姿を見る。
「.....そ、それでお願いがあるんだけど」
「.....お願い?何でも聞くよ。俺だったら」
「.....う、うん。そう言ってくれると思ったから。.....私にお礼をさせて下さい」
「.....それは.....必要無いって言ったけど.....」
「でも私がやっぱり満足しないので.....お願い」
「.....分かった。.....じゃあお礼を受けようかな」
はい、と言いながら流星。
そしてモジモジしてから、お礼はお弁当を毎日作って良いですか、と言ってくる。
へ?、と思いながら俺は流星を見る。
流星は、お弁当.....その。.....私、料理には自信があるから、と答える。
「.....い、いや。でも流星は.....確か成績が大切って.....」
「それは確かに大切だよ。.....でもそれ以外にも大切なものを見つけたの」
「.....そうなんだ.....」
「.....うん。それが.....今日だったから」
「.....そうか。.....でも無理はしないでね」
俺はそう話しながら流星を見る。
そして住宅街に入る。
それから流星は、じゃあ私はこっちだから、と言ってくる。
俺はその言葉に笑みを浮かべながら、じゃあまた明日、と言う。
「.....でももう死ぬ気持ちを持たないでね」
「.....私はもう大丈夫。.....生きる希望を見つけたから」
「.....そいつは良かった」
それから俺達は別れてから。
そのまま家に帰宅する俺。
そして玄関を開けると.....ローファーがあった。
つまり女子生徒が.....来ている。
ん?俺の妹、真理子(まりこ)の友人か?
「お兄ちゃん。おかえり」
「.....ああ。真理子。.....これは友人か?お前の」
「.....違うよ?.....何言っているの?お兄ちゃん」
「.....お前こそ何言ってんだ」
するとリビングのドアが開いた。
それから信じられない顔を見せてくる。
美少女だ.....ってこの人!?
俺は愕然とする。
何故ならその人は.....流星の妹だったから、だ。
顔立ちがかなりの美少女であり。
童顔ながらも大人びている。
そして黒の短髪。
スタイルも抜群だが.....ん!?
「.....お帰りなさいませ」
「.....お前.....流星の妹だよな?」
「はい。私は一星(いっせい)って言います」
「.....そうか。.....その一星さんが何のご用事で?」
「その.....お姉ちゃんを助けてくれて有難う御座いました」
一星さんは何でこの場所を知っているのだろうか。
思いながら妹を見る。
すると真理子は、道を聞かれて.....それで答えたらうちに用事が有るって言うから、と答えながら俺を見てくる。
俺はビックリしながら一星さんを見る。
「どうしてもお礼がしたくて。.....大変厚かましいのですが.....」
「.....いや。そこまでしてもらうつもりは.....」
「でも私は.....お姉ちゃんが大切なんです。.....だからお姉ちゃんを救ってくれた貴方には.....」
「.....」
お兄ちゃんは何をしたんですか?、と一星さんに聞く真理子。
すると一星さんは、私のお姉ちゃんの自殺を止めてくれました、と答える。
真理子は驚愕しながらも。
まあお兄ちゃんらしいですね、と答える。
溜息混じりに、だ。
「.....ね?お兄ちゃん」
「.....そうかな?.....俺はそうは思わんが」
「え?昔にもこんな事が?」
「.....そうだな。.....幼馴染の自殺を止めたんだ。.....今は離れ離れだけどな」
「.....そうなんですね」
だから正義が深いんですね、と言いながらも。
何故か残念そうな顔をする一星。
俺は?を浮かべながらも事情を聞かない事にした。
幼馴染が無事だったのを喜んでない訳じゃ無いらしい。
何か別の理由がある様だが。
「でも.....先輩。私は貴方には感謝しかないです。.....だから絶対にお礼がしたい」
「.....そうか」
「.....私が買い物に今度出るんです。.....その時にお礼をしたいです」
「それはつまりデートか?!」
「で!?」
真っ赤になる一星さん。
すると妹に頭を引っ叩かれた。
お兄ちゃん。誤解は生まない、と。
俺は、確かに行きすぎた、と反省する。
それから、でも分かった。それなら付き合うよ、と言う。
このまま断っても迷惑だろうしな。
「.....でもその。デートでも.....良い.....かも」
「.....え?何か言ったか?」
「何でもないです。すいません」
俺と真理子は?を浮かべながら一星さんを見る。
一星さんは頬が赤いままでブンブンと手を振っていた。
察されるのが嫌な感じで。
俺達は最後までその様子の理由が分からなかった。
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