自殺を止めたらその自殺未遂を起こした姉と妹に好かれたんだが(別サイトより転載)
アキノリ@pokkey11.1
第一章 どれだけ不幸でも生きる事は大切だ
スマイルが大切だろう
第1話 この世界はつまらないかもしれないけど
この世界はずっと廻り続ける。
その廻る中ではきっと楽しい事もある筈だ、と思っている。
そんな能天気で生きていても仕方が無いとは思うが。
昔の幼い頃に別れた幼馴染の影響だろうな。
まあどういう意味かといえば。
死ぬのが勿体無い世界だろ?、って話だな。
単純な道理だ。
そんな考えの俺であるが.....。
ある日の事である。
退屈もそこそこに4月13日の昼休み。
学校から飛び降りようとしている?様な美少女を見つけた。
俺は愕然とした。
それは本当に見惚れそうな優しげな顔立ちに。
見惚れそうな艶やかな長髪の黒の髪の毛。
そして.....何処ぞのモデルと言っても過言じゃない程にスタイルが良い。
などと考えている場合か。
俺は柵の向こうの少女に咄嗟に、おい!、と声を掛ける。
すると少女は悲しげな顔で俺を見てきた。
涙を浮かべて意を決している。
今にも飛び降りそうだ。
「貴方.....誰ですか?」
「.....ああ。俺か。俺は佐藤ミチル(さとうみちる)ってもんだ。.....お前は?」
「.....私は石川流星(いしかわりゅうせい)です。名乗ったからどうだって話ですけど.....」
「そうか。.....なあ。その。流星。もし良かったら話をしないか。こっちに来て」
「.....別に.....もう私は死にますので。大丈夫です」
それは.....そうだな、と言う俺。
駄目だそれじゃ引き留めるには弱すぎる。
俺はどうしたものか、と思いその姿を見る。
それからふとそれが浮かんだので言った。
お前は最低だ、と。
「.....え?」
「家族を残して死ぬのかお前は」
「.....家族?.....家族.....」
「大切な家族のその後を考えた事はないのか?.....自殺だけが全てじゃないぞ。お前が死ねば家族も悲しむんだ。だからお前は最低な女の子だよ。死んで全てチャラに出来るって思うな」
「.....さい.....えっと。そんな言葉もそんな事も.....思い付きませんでした」
「.....俺が話を聞くから。.....大事になる前に、な?」
そして俺は隙を見てから手を引く。
流星の手を。
それから流星を見る。
流星は涙を浮かべて途中からされるがままになっていた。
そうしてから静かに泣き始める。
「.....何というかこっちに引き寄せるなんて力が強いですね。......えっと。......私、成績で悩んでいて。色々悩んでいました」
「.....ああ」
「.....だけど貴方のせいで死ねませんでした」
「.....そうか。それは良かった」
何故貴方は私を止めたんですか?、と悔しげな感じで聞いてくる流星。
俺はその言葉に、咄嗟にな。聞いてほしいんだが俺には座右の銘があるんだが、と流星に切り出す。
そして目を丸くしている流星を柔和に見る。
「.....生きていれば良い事がある。それが座右の銘なんだ。.....だから楽しくやろうぜ。成績なんて考えなくてもな生きていけるっての」
「.....でも私には落ちた成績で絶望しかないです」
「.....絶望しかなくても。.....じゃあ俺がお前を楽しくさせる。.....これでどうだ?」
「.....???.....アハハ。おかしな人ですね」
クスクスとやっと笑う流星。
何とかこの場を取り繕えた様だな。
そう思っていると、お姉ちゃん!!!!!、と声がした。
それから先生達と一緒に女子生徒が来る。
その女子生徒は流星と顔が似ているのでビックリしたが。
成程。姉妹か、と思った。
「何やっているの!?みんなびっくりしていたよ!?柵の向こうに立っている人が居るって!それがお姉ちゃんだったし!」
「......うん。死のうと思ってたの」
「お姉ちゃん......いや。冗談でしょ?.....何で.....そんな事を.....」
「.....成績が下がって私自身が生きるのが辛くなったの。だけどそこの男の子が.....私の命を救ってくれた」
「.....貴方が.....」
俺は苦笑しながら膝付いていた分のズボンに付いていた白い粉を叩く。
別に。ただ引き留めただけだ、と笑顔で言う。
それから立ち上がってから。
もう大丈夫そうだな、と流星に声を掛ける。
流星は若干赤くなりながら、はい、と返事をした。
「.....じゃあ戻ります。先生方」
「.....待って下さい!貴方.....確か佐藤、佐藤ミチル先輩ですよね!?その.....感謝のお礼がしたいです!先生も.....そう思っていますよ!」
「.....受け取れないよ。俺は引き留めただけで何もしてないからね」
その女子生徒は、でも、と困惑しながら言うが。
俺は強く首を振る。
そしてそれから、じゃあな。流星、と言いながら立ち去る。
先生達がそれぞれ分かれて流星とかを支える担当などをしてから。
というか俺にも声を掛けてくる先生も居たが。
当たり前の事をしただけです、と俺は断ってから。
そのまま教室に戻った。
☆
「お前スゲェな.....そんな事をして」
「ヒーロー気取りってか?違うよ。俺は救っただけだ。命を。女の子を」
「.....いや。常人じゃ出来ねぇよ。そして何も受け取らないとか」
そんな噂で持ちきりの教室。
俺は苦笑いを浮かべながら授業を受けての放課後。
目の前の友人の坊主頭の田中元康(たなかもとやす)は興奮気味に話す。
俺は首を振った。
「大層な事じゃない。俺は.....命が救えただけで良かったって思ってるしな」
「成程な。それで何も受け取らんのか。マジにキザだな」
「喧しいわお前さん」
そんな会話をしながら俺達は掃除当番に全てを任せてから下駄箱に向かう。
それから靴を履いていると。
校門の前が何か人だかりが.....何だ?
俺は、まあよく分からんがんじゃ。野球部に行くから、と言う元康と別れてからその校門を見ながら歩く。
すると校門近くになって、あ、と声が。
それから駆け寄って来る.....え?
「ミチル君」
「.....君は.....流星.....?」
「そう。流星です。こんにちは」
「.....ど、どうしたの?いきなりだね」
「貴方を待っていたんです」
「.....え?」
訳が分からず赤くなる俺。
野次馬も、え?、的な感じになる。
その後の事もお話ししたくて、と言ってくる流星。
俺は赤くなりながら、そ、そうか、とそのまま返事をする。
それから俺達は野次馬が見ている中で流星に引き摺られる中。
そのままその場から後にした。
そして歩き出す。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます