やっぱりみんなで音楽を Part2

 放送をしてから1時間が経った。会館に走った陽介が姫香と坂本から事情を聞いて歓喜の発狂をしたのは言うまでもなく、由梨と結斗を呼び皆を最後の、72回目の勧誘が始まった。いや、もはや勧誘と呼べるものではなく、姫香の人望と権限で無理やり同行させたに近い。稑に至ってはゲームをしていたのを無理やり引っ張って部屋から出した。そしてあと一人残ったのが昨日、陽介に感情のままに怒りをぶつけた茂だった。茂は家にいる。皆、茂はああなったら頑固だから無理だと言うが、姫香が「私一人で連れてくる」といい深堀家のインターホンを鳴らした。

 出てきたのは寝起きの茂だった。しかし茂は今の状況をもう把握しているようだった。

「茂先輩、今楽器が英二さんから支給されて、楽団が創り上げそうになってるんです。茂先輩も一緒にやりますよね?」

 煽るように言葉を発する姫香に対してあざけるように茂は返す。

「返事がまるでわかっているのに聞くあたり、お前も性悪だな。楽器が使えるからなんだ、たった3ヶ月で村の外から人を招き沸かせる演奏なんてできるはずがなうだろ。村がなくなるだけじゃなく恥までかくなんてまっぴらだ。残りの3ヶ月、俺は平穏に過ごしたいから放っておいてくれ。お前こそこの村が好きなら悪あがきはやめて浸っていたほうがマシだぞ」

「何それ、らしくないじゃないですか。そっちは自称でも村好きNo. 1だったら村を救いたいとか思わないの?」

 冷たく突き刺すような口調で互いに静かな熱いことを言い合う。これは両者引くことのできない一種の冷戦に遠くから様子を窺う者には見えた。

「自称なんかじゃない、俺はこの村を誰よりも愛している。救いたいと思わないなんてことは一切ない。限界集落と化する生まれ育った母村を見過ごせなくて、昨日の改革会議で俺は雄大さんにこの村を買収されて村が生きるなら、俺は腹をくくっていたんだ。でも、それを止めたのは音楽だ。この村を今の状況に一瞬で落とした音楽を俺がやるなんて、冒涜だ…。」

「違います!音楽は悪くない。誰も悪くない!」 

 拳に力を込めて全身から発した姫香の叫びは遠くの者達にもハッキリと聞こえた。姫香は肩を上下に呼吸を整えている。

「本当にわかってますか茂先輩は。陽介はただただ自分勝手に好きなことをしたいわけじゃない。ちゃんと村のことを考えてる。たしかに浅すぎる行動でこうなっちゃってるけど、村好きを語ってるくせに何も言えなかった私たちよりも断然凄いじゃないですか」

 悔やんでも悔やみきれない心情が言葉に現れている姫香の言葉には茂も言い返せない。

「音楽をやることは冒涜なんかじゃない。千寿村を守るための切り札なの。ていうか音楽しかないの。私もあんだけ断ってたことを今になって挑戦するなんて思わないけど、千寿村のためには音楽にすがるしかない。でも音楽はメンバーがいればいるほどいいと思う。だから茂先輩も意地なんてはらないで、音楽を私たちとやろうよ」

 姫香の声には村に対する切実な想いが詰まっていた。茂は自分の意思が揺らいでいるということに気づくがまだ振り切れないものがあった。

「…しかし…俺、は」

 不意にチッと音がが響いた。姫香の中で何かがきれ、舌打ちとなり姿を聴かせた。

「めんどくさい!何が、村の冒涜、買収されるのに腹をくくったよ!誰よりも茂先輩がこの村が変わるのを怖がってるじゃない。不変を信じてるじゃないの。だったら、音楽やるしかないじゃない。いや、違う。もう決めた…。音楽をやりなさい。よ」

 茂に向かって人差し指をビシッと指し尊大な態度で命令を吹っ切った姫香を目にしたと同時に茂の中の何かもぷつりと切れた。そして腹を抱えて狂うほどに笑い出した。姫香は笑われた自分の姿を見てふと赤面し、そして手を戻し笑わないでくださいよと照れ隠しをする。

「大原、お前それ黒歴史になるやつだな。いっつも憎たらしいように優等生演じるお前がこんな偉そうなことをな。ていうか、次期村長は俺だっての。そこ間違えるんじゃねえよ」

「え~何言ってるんですか。次期村長は私に決まってます。茂先輩は私の秘書ですね。コキ使ってあげますね。で、音楽やる?」

「この流れでやらないなんて…いえねぇな。あ、でも楽団に入るわけじゃないからな。ちょっとだけどんな感じかを体験して、可能性があるならやるさ」

「それは大丈夫ですよ。私もふくめてみんないきなり音楽やるぞ!ってテンションになれてないから」

 和気藹々と話す2人の顔はもうすっかりと晴れて朗らかとしていた。それを密かに見ていた陽介たちは拳を握りガッツポーズを決めていた。


 千寿村の二十歳未満15人が勢揃いで坂本の車と一緒に停まっていたシャトルバスに乗り込んだ。そして15人を乗せたバスは走り出した。ほとんどが初めての貸切バスでみんなワクワクしていた。

「桜ちゃん、これなんか都会の遠足みたいで楽しいね」

「うん。私もたまに本屋さんに行く時とかバスに乗るけど、ほとんど一人だけだったから、みんなと乗れるのは楽しいよ。佳奈ちゃんはバス初めてなの?」

「うん!そもそも車に乗ることもあんまりないかな」

 席の隣同士や、かたまりで仲良く話し合っている。陽介も由梨と純と普通に話している。

「なあ陽介…悪かったな。お前の夢を俺は、心の中で馬鹿にしていた節がある。俺もバスケが好きでやりたかったけど由梨と同じ理由で諦めてた。陽介だけが能天気に夢を追いかけているから、腹が立ってたんだよ。本当にすまなかった」

 幼馴染の心の内の告白と謝罪に陽介ははにかんだ笑顔を浮かべる。

「いいよそんなの。俺もついムキになった。由梨もだけど、ごめんな俺のせいでこんなことに巻き込んじゃって」

 神妙な顔は似合わず、二人は吹き出してしまった。

「だから、俺(私)は陽介の無茶に付き合うの慣れてるって」

 3人はまた前のように親友に戻れたように見える。

「俺はいい幼馴染を持ったんだなぁ」

「何言ってんの。当たり前だからね」

『間もなく目的地へ到着いたします』

 運転手さんが操縦席からアナウンスで報告をする。皆窓の方へ目を向けた。するとそこはもう豪華な家や建物が並ぶ新世界だった。そしてバスの停まった所には、白く目立つ建造物があった。

『坂本財閥所有楽器展示館です。どうぞご降車ください』

 バスの扉が開き皆が外に出ると坂本が一足先に待っていた。そして初めての街に興奮する15人を集めた。

「ようこそ新月にいげつ市にみんなきっと新月は初めてだよね。どうだい新天地に足を踏み入れた今の気持ちは。心躍らない?今度改めて案内するよ。まず今日はここに入って楽器とご対面しようよ」

 この中で誰よりもソワソワしているのは陽介だ。夢にまでみた楽器を今実物を見、触れることができるという事実に発狂してみたおかしくない状態だ。坂本もそれを察知してニヤッとしながら展示館の鍵を解き、扉を開けた。するとそこに広がっていたのは壁一面にかけられたギター、ガラス張りのショーケースに入れられた管楽器などのたくさんの楽器が飾られていた。これには陽介はもちろん、他の者も目をひかれた。見るとそこには何人かの大人がいた。そして坂本はこちらを向く。

「よし、じゃあこれから2時間あげる。楽器を選ぼうかみんな。ここにある楽器を各自で見て回って、最終的にこれだ!って楽器をこれから練習していこう。試しにやってみたい場合は近くの人に聞いてくれればいいよ。急遽頼んで楽器のプロ何人かに来てもらったから。そこにいる人たちが全員プロだからねぇ。なんでも聞いていいよ。じゃあ、はじめ!」

 坂本の手を叩いたのを始めに少し戸惑う者もいたが、皆動き出したのを見て各々ショーケースのもとへ歩き出していった。

「なあ稑、お前なんか気になる楽器あるか?ないんだったら俺あのど真ん中に飾ってあるギター赤くてイカしてると思うから見に行きたいんだけど一緒に行かね?」

「うんいいよ。俺も楽器なんて興味ないから、面倒臭いけど色々見て回ろうと思うし」

 と言い奥の壁に掛かっている赤いエレクトリックギターのもとへ行った。

「実物見ると結構カッケェな」

 と眺めていると、近くの男性が近づいてきて話しかける。

「君らギター興味あるのかい?とりあえず、音でも聴いていきなよ」

ジャッジャッジャジャッジャジャーン

 男は黒いギターを肩にかけながら近寄り、喋りながらもうギターの弦を三角の板で弾いていた。

「どうだい?イカすでしょ?」

 稑は苦笑しているが、皐月は違った。キラキラとした目をして男に言った。

「お願いします。なんでもいいんで、スッゲェゾワゾワするっていうかギラッギラするの少しだけでいいんで弾いてください‼︎」

「いいね少年。要は君の全身の毛が逆立つような痺れるフレーズもってこいってわけだろう?いいねいいね、やってやろうか!」

 男は目を見開き、大きく右手を振り下ろしたと思いきやすぐに弦のほうへ戻して、細かく弦を弾いている。チマチマ弾いているように見えるのに音は一音一音全てが皐月に響く。直感的にこれだと思ったのか、皐月は聴き入ってしまった。

「俺決めた。ギターやるよ。あの赤いギターをおじさんみたいなふうに弾きてぇ」

「おーおー、いいねいいね。未来有望そうなギタリストの誕生かねぇ。俺は水上玄丘みずかみげんきゅうだ。先にやってようぜ」

 続いて皐月も自己紹介をし二人はどこよりも先に楽器の練習を始めた。二人のギラギラとした会話から離脱してしまった稑は頑張れと皐月にエールを送りながらそこから去った。するとギターを弾いているちょっと近くには兄の宇宙がいた。稑が近づくと宇宙は嬉しそうな表情に切り替わった。

「稑、いい楽器は見つけたか?俺はまだまだ良さそうのがなくてさ」

「俺もまだだよ。でもさ、兄ちゃんは似合いそうな楽器あるじゃん。このドラムなんか、兄ちゃんってがたいいいからすっごくカッコいいと思う」

 あまりにも正直に言ってしまって少し恥ずかしがる稑に、宇宙の表情は一変した。

「稑が…そこまでいうと言うなら…理想の兄いちゃんになるべく、俺はドラムを極めようじゃないか!」

 もう止まらないと察した稑は諦めて頑張ってねと奮いを立たせてそこを去った。

「みんな自分の運命的な楽器見つけてるのに、俺にはそういう直感がこないなぁ」

「ねえねえ僕、魅惑的な木管楽器見ていかない?」

 若そうな女に話しかけられた。

「木管楽器?どんな楽器なんですか?」

「木管楽器ていうのはね、ここにあるクラリネットとかみんな大好きサキソフォーンみたいに、口を咥える部分にこういうっていう木の板を挟んで、そのリードうぃ震わせて音を鳴らす楽器のことなんだよ。あとはフルートも実は木管なんだよ。さあ、ここのショーケースは全部木管楽器だよ、魅惑的な子を探しちゃってね」

 愛想笑いをしながら頷き、ショーケースに適当に目をやる。

(なんだろうこの人、音楽家ってみんな変人なのかな?ていうかこの人楽器をまるで子どもみたいに言ってないか。魅惑的な子って言ってるぞ…。楽器にそんな魅惑的とか運命とか…そんなの)

 と思いながら見ているとピタッと止まった。稑の目の先には赤茶色の細長い木の枝のような楽器があった。それをみた女はやや興奮気味で話しかけた。

「ウッソーもしかしてこの子に見惚れてる感じ?」

「見惚れているっていうか、でもなんかいいなぁって思っただけです」

「いいじゃない。それはもう惚れる直前ね。この楽器はよ。別名をバスーンともいうわ。センスいいわねダブルリードよ。私はね、宇佐津響うさつひびきよ。オーボエを吹いてるからよろしくね」

 ダブルリードやオーボエも何かわかっていない稑だが、ファゴットが自分には一番いいなと決断した。それと言った理由はないから響風にいうとだろう。

 それとが対極的に金管楽器のエリアは大層賑わっていた。そこにはプロトランペッターの小島悠こじまはるとホルン奏者の羽馬中玄治はばなかげんじがその場にいる茂や由梨に教えていた。

「ねえ陽介、ラッパって吹くの難しいのかな?」

「由梨、難しい楽器なんてないと思ったほうがいいよ。トランペットのマウスピースは小さいから結構大変だと思うよ」

「へぇそうなんだ。でも私ラッパがいいなぁ、かわいいし」

「文香さんは、金管楽器ゾーンにいますけど、なんか希望とかあるんですか?」

「いろいろみてきたけど、私ピアノにする。あとホルンもこの形の複雑さがスケッチの練習になりそうだからホルンやってみる」

「そうですか。なら俺もホルンとピアノやってみます」

「そう、私を慕って同じことしてくれるのは嬉しいけど、たまには自分で選択してみるのも武には必要だよ?」

 武は大丈夫ですよとニコリと笑ってみせた。そして悠が金管楽器エリアの皆に一斉に言った。

「よーし、みんな金管楽器で良さげなの目星ついたら手に取ってみなよ。大丈夫落としなんてしないよ」

 各々照明の反射でキラリとする楽器を手にした。玄治がそれぞれに持ち方を教え回っている中、悠が指で数えている。

「えーっと、ラッパが3人にボーン1人とホルンが2人か。やっぱトランペットだよなぁ。わかってるね3人。あれ君は選ばないの?」

 一人楽器を持たずみんなを見ている陽介は答えた。

「俺はもう心に決めている楽器があるのでここにはただただ楽器を見にきただけです」

「あ、そうなんだ。ならしゃあないな。気を取り直してみんなまずは基本のことから始めようか。まずはバズィングという金管楽器に必要不可欠な技術を教えるね。こんな風に口を横に張って唇を震わせるんだ」

ビーーーーー

 悠の唇からは蝉の鳴き声のような高い音が鳴った。みんなそれに驚きを見せて自分でやろうと試すが音が全然ならない。そこに玄治がアドバイスを送った。

「最初のうちは息を流す時に口が緩むから、片手をチョキにして唇をこんなふうに抑えたほうが鳴らしやすいぞ」

 これを見て各々手をチョキの形にして唇につけて息を吐いた。途切れ途切れでも音がでる者も出てきている。

「あ、出た!」

「むずくね?これ」

 皆苦戦している中、突如ビーーーと高い音が鳴った。悠も玄治も鳴らしていない。鳴らしたのは茂だった。周りのみんなはもちろんだが、悠と玄治さえも目を丸くした。そして悠が近づいていった。

「君、名前は?」

「俺は深堀茂です」

「茂くんね、本当は次マウスピースを吹かせる予定だけど、急に楽器吹いてみようか。」

 真剣そうな口調で淡々と茂にトランペットの構えを教えた。そしてさっきのバズィングの要領で吹いてみてと言う。

 茂は息を吸い口の形をさっきのを思い出しながら作り息を入れた。

パーーーーー…

 音が鳴った。息が足りず最後は掠れた音だった。しかしそれを聴き悠も玄治も固唾を飲んだ。

「これは…すげぇな」

「うん。初心者の子からこんないいベーの音が聴けるなんて、思わなかった。まだ至らないところだらけだけど…茂くんは逸材かもしれない」


 楽器選択から2時間が経った。外にみんな集まっていた。それを確認した坂本がみんなの前で言った。

「みんなたくさん楽器見て、一応一個は楽器を選んだよね。ということで、明日から2週間、毎日レッスンをパートや個人で受けてもらうよ。そして2週間後にみんな集まってここで初めてのをしようと思う。明日からの2週間でみんなどこまで成長してるか楽しみだなぁ」

 ついに音楽活動が始まるという実感と、合奏という言葉に皆心が昂る。

 バスに乗り込み千寿村に帰っている道中でも皆昂りは冷めず、今日の楽器を触ったり吹いたりしたことを近くの席の者同士互いに話し合っていた。

「十希、お前はなんの楽器をやることにしたんだ?」

「私はねぇ、クラリネットって楽器を選んだわ。なんか小さくて持ち運びが楽そうなのよねぇ。ところで茂、あなた、すごく上手いらしいじゃない。なんて言われたの?」

「俺は、金管楽器の才能があると言われた。俺はだからトランペットをやろうと思う」

「ふふ、いいじゃない。茂らしいわぁ。さて、私は少し寝ようかしら。着いたら起こしてちょうだいね」

 そうして十希はゆっくりと目を閉じた。

「あの、姫香さんは何やることにしたんですか?」

 景がタジタジと聞いた。

「私はね、サックスとトロンボーン。カッコいいでしょ。景は?」

「僕は、ベースを選びました。水上さんっていうギター弾く人がちょっとベース聴かせてくれて、なんか渋くてカッコいいなって思って」

「へぇ、渋い景か。割と似合うんじゃないかな」

「そ、そうですか?ありがとうございます」

 景の顔はほんのり火照っていた。

「由梨は結局トランペットにしたの?」

「うん、そうだよ。茂先輩と佳奈ちゃんと一緒。それより私、陽介の方が気になる。陽介の心に決めてる楽器ってなんなの?」

「クラリネット」

 陽介は思い出を噛み締め昔のきっかけを話し出した。

「小学2年生の頃にお母さんが村の外でやるオーケストラのコンサートチケットをもらってきてさ、お母さんと一緒に浅葱地を出て隣の矢東木やとうぎまで行って聴きに言ったんだ。そこで色んな曲を聴いたけど俺つまんなくて寝そうだったんだよな。そしてらさ、ゲストで柳家勇司やなぎやゆうじっていう凄いクラリネッティストが来てさ、クラリネット協奏曲を吹いたんだ。その時の演奏が本当に凄かったんだ。そして決めたんだよ、いつか柳家さんのような世界的なクラリネッティストになってやるって」

 語っている陽介の目はどんどんとキラキラしてきて、それを見ている由梨と純も楽しそうな表情をしている。

「そうなんだ。そういえば陽介の音楽好きもその時あたりからだったね」

「ああ、あの時確か陽介、流奈おばさんにリコーダー買ってよーって泣きじゃくってたっけな。そして誕生日に買ってもらってたな。お前、クラリネットをリコーダーだと思ってたのか?」

「あの時はそうだね。めちゃくちゃ上手いリコーダーの演奏にしか見えてなくて、リコーダーを買えばああゆう風になれると勘違いしてた。懐かしいな。ていうか純は今日俺らと行動しなかったけど、なんの楽器にしたんだ?」

「俺?俺はコントラバスにした。ていうか、色んな楽器やったけど、どれもセンスあるって言われた」

「え、すごいじゃん純。意外な才能?」

「でも俺背高いからコントラバス似合うって言われたから。ヘ音記号ってのの読み方教えてもらった。あと普通に音好き…低音なんか好きかも」

(これ…低音沼にハマった感じかな純…これは、熱い展開かもしれない)

 そう考え陽介は一人微笑んでいた。

 そんなこんなで千寿村に着いたのは7時を過ぎていて即解散となった。そして次の日から毎日放課後は楽器の練習に皆明け暮れた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る