父
父はよく都内へ出向き講演会をするようになり、以前よりテレビに取り上げられることが増えた。
テレビをつけると画面の向こうでは父の研究所前で何やらいろんな看板を持った人達が映った。
看板には[自然破壊やめろー]とか、[空を操るな!災害が増える!][戦争に使うな!]などと書いてある。
番組のテロップには[武蔵野の森破壊の危機、戦争の危機]と記載されていた。
別の番組では父の研究で膨大な国家予算がつぎ込まれ社会保障政策がないがしろにされている現状を憂いた歌[落合博伸の歌]を流していた。
僕はなんとなく観ていた。
父はそんな番組を見るたびに。
『こんな下劣な前進無き者のどこがいいのだ!?』
『理解すれば皆歓迎するはず』
などと言って怒っていた。
しかし、父は世間からどう言われようと講演をやめず、研究をやめず、ひたすら働いていた。
父は[忠誠が便宜に支配された男]と蔑称で世間から呼ばれていた。
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