第32話 眷属



 師匠とツキと別れた俺はそのままの足で宿泊期間を延長したままの宿へと向かう。


 師匠の根城であるあの廃城(元は王族の住まう立派な城だったらしい)も使っていいとは言われている、金銭面的にもとてもありがたい申し出、だけどあそこに行くと思い出してしまうから躊躇われる、の出来事を、俺はそれはもう情けなくギャンギャンないてしまった……その後は真っ赤な海の中、俺とツキが熱く抱擁し合っている所を師匠に目撃され、『……お、っと……こいつは邪魔したな』となぜか空気を読まれ、どこかへ行こうとするので慌てて引き留め説明しようとしたのはいいけど、いったい何をどこからどう説明したらいいのかと迷っていたら、『別に何も説明はいらねえし、何があったかなんて聞きやしねぇよ、その物語は二人の中でもう出来上がってんだ、演劇じゃねえんだから語り手や聞き手はいらねえし、ましてや観劇や評論なんてものは必要ない』と、言われた、だから俺はもうそれ以上は何も言わなかった。


 そうして、あーだこーだやーいやーいとありながらも次の日のことを――俺は思い出す――より強固になった繋がりを――……




   ▼▼▼




 ――師匠の根城、名はアエテルニタス城と言うらしい、ラテン語で確か永遠を意味する筈だ、……滅んじゃってるけど……ちなみになぜ俺がラテン語をしっているのか、カッコイイからだ、男の子も女の子もみんな覚えた方がいい、おすすめは中学あたりの年齢で覚えること。


 そんなごくありふれた、平々凡々なことを漠然と頭の中で巡らしながら螺旋に続く階段を上り大広間、古びた玉座の間へ、扉は壊れて無くなっているのでそのまま中へ足を踏み入れる、元々あったであろう高い天井は吹き抜けになってしまっている、そこからは澄み渡った青空が伺えた。


「来たか、國満」


 呼ばれてその方向へ視線を、そこにはどこから持ってきたのか、光沢のある木材質のテーブルの前、赤いソファに腰かけた師匠が居た。空けたワインとグラスも見受けられる。


「師匠、森の中にある城ってやっぱりイイですね、ロマンチスト的に」


「クハハハハッ! 國満にもわかるか、この良さが」


「まあでも、ここに来るまでに13回は魔獣に遊んで遊んでされましたけど」


「だが、そいつらに顔を覚えられるくらいここに通えば襲われることもなくなる」


 グラスにトクトクと赤い液体を注ぎながら言う。


「飲むか?」


「いえ、大丈夫です、さすがにこんな朝早くから飲むきにはなれませんし、お酒は自重してるんで」


 遠い過去のことを思いながら師匠の前へ。


「後ろの壁と床、あのちょっと過激で前衛的なアート、綺麗さっぱり無くなってますね、結構汚しちゃったと思うんですけど」


「ああ……、随分やんちゃしたようだったな、額縁に入れて飾ってもよかったんだがな」


 冗談を合わせてくれる師匠はワインを口に。


「そういえばツキどこに行ったか知ってます? お城行ってくる! って、宿飛び出したきり見てないんですけど、ここに……来たはずですよね……はぁ、こんな事ならGPSでも付けておけばよかった……機械族にでも頼んで……」


「そう心配すんな、咲月嬢なら俺が頼んだクエストに行ってもらってる、交換条件でな、まァ、お使いみたいなもんだ」


「そうなんですか、安全なら良いですけど……ウキウキで行ってるのが目に浮かぶ……ところで、交換条件って?」


「それを話すのもいいがまずは俺から聞きたいことがある、ここに来てもらったのもそれを確かめるためだ」


「……? なんでしょう?」


「國満はまだ、“眷属化”はしたこと無い、で合ってるか?」


「……ええ、ないですよ、なんなら吸血行為すらしたこと無い吸血童貞です、なにか文句がおありで?」


「……そうか……」


 俺の不満はさらっと流される、あとなんか残念そうな顔やめてください……泣いちゃうぞ……?


「……してみる、気はねえか?」


「え、眷属化ですよね……今の所はないですね……眷属って言葉から縛り付けるみたいでなんか抵抗感もありますし、するとしてもいったい誰を? というのもありますしね」


「いや、國満の最初の眷属化相手はもう決まってんだよ、まだ相手方の確認をとったワケじゃねぇが、國満さえ良ければ大丈夫なはずだ」


「……な、なんと……師匠が仲人で相手はもう決まってる……? そんな、段取りがよすぎる……これは罠か……まだ顏を合わせた事もないのに……わけも分からず俺童貞卒業? いやでも……嬉しい誘いではあるんですけど、やっぱりあんまり気が進まない……」


「力も得れるし利点しかねえと思うが……、眷属化による、“金糸きんし”も勿論知ってるよな?」


「はい。それは知ってます、眷属の危機に瀕して発生する金色の糸のことですよね、それを掴むと眷属の居場所へと転移することができるのももちろん知ってます」


「そうだ、その通りだ、それを踏まえて聞いてほしい」


「はい」……なんだろう。


「相手はな、咲月嬢だ」


「……え……、だれですか、その可愛くて可憐でそれでいて時たま大人びた印象をみせるお兄ちゃん大好きっ子ゴシックロリータな服を着ていそうな名前は……どこかで聞いたことがあるような……」


「梓川 咲月・V・アルク、お前の妹だ」


「お、俺の妹だったああああ!!」


 体を使ってわざとらしく驚きをアッピール。


「でも師匠、俺も考えなかった訳じゃないんですよ、金糸については、でももう一つ、ありますよね、眷属の危機への転移、の他にも特性が――」


「主人の危機、だな? やっぱそこで悩んでるのか」


 癖なんだろう、手で顎を撫でこちらを見据えて言う。


「ええ、そうです、眷属側も主人の危機に際して同様のことが出来ます……白昼夢の悪鬼のこともありましたし……自分への弱さの実感もあって尚更って、感じですね」


 こんな状態で軽率に眷属化なんて選択をしたら、彼女を危機に晒すことになってしまいかねない………眷属、契約の解除なんてものもない、ありえないのだから。


「だがまだその選択を捨てるには早いぞ、試したやつが少ないせいかあまり知られてないが金糸にはもう一つ、三つ目の特性もある」


 一瞬、入口付近に目を逸らした師匠は耳を貸せと俺を手招いた、疑問はあったがここはおとなしく従うことに。

 そこから耳元へと語られた言葉に俺は少しばかり驚く、そんな使い方もあったのかと。


「……それなら、眷属化もあり、ですけど……迷いますね……そもそもツキの了承も得なければいけませんけど……うーん、いやでもやっぱり……どうしよう……」


 いつまでもウジウジ悩む自分になんだか嫌気が差してきた……


「――あたしはいいよ」


 そんな時、入口からツキが姿を現す。


「あれ? 帰ってきてたのか……ああ、だから……」師匠は入口に注意を向けたのか……三つ目の特性は聞かせるわけにはいかないからな。


「あたしはみつにぃの眷属に、なりたいな……だめ……?」


 近寄って来たツキは俺を見上げて言う。


「ダメなことなんてない、でも、ツキは俺のものじゃないんだ、簡単に縛り付けるわけにもいかない」


「あたしはみつにぃのものだよ」


 交わした目線を逸らさず、きっぱりとそう言い切ってみせる。


「あの日聴かせてもらった悲愴、いまもずっと心に残ってる、そう、あのとき救われたから今のあたしがあるんだよ、だからあたしは、あなたに、この血を捧げたい」


「それは……」


 俺も同じだ、君に救われたから今の俺があり、この身を捧げたいと思っている。だったら…………悩むことなんて…………


「しようか……俺に君の血を吸わせてほしい」


「うん! どうぞっ」


 笑顔で、両手を広げて言った。


「よし、そうと決まれば二人共ここを使え、俺は廊下に出てる、終わったら呼んでくれ」


 ソファから立ち上がった師匠はワインを片手に言った通りに廊下へと出て行った。


「じゃあ、さっそくしようよ、……よいしょっと」


 靴を脱いだツキはソファに座って正坐の形を取り、体方向をこちらに向ける。はやくはやくと急かされ俺はその横へ座る。

 顔を向けると、どこか緊張気味の様子だった。


「……ねえ、どこ吸う?」


「なんだ、どこ吸うって……やっぱ吸血って言ったら首筋、じゃないか?」


「よかったあ、脇だったらどうしようかと……みつにぃの性癖もあるし、こちょばいし……」


「んなわけあるかい、それとそんな癖はないっ」……多分!


「み、みつにぃ、もうちょっとこっち来て」


 言われたとおりに身を寄せる。


「あ、ま、まって、クエスト行ってからお風呂はいってない、汗臭いかも」


「いいよ、別に、このままの雰囲気も大事だからな」


「そ、そうだよね……」


 視線を彷徨わせ、もじもじと身体の位置を調整している。


「ツキ、いいか? 始めても」


「え、と、あ、ちょっと待ってねっ、吸血しやすいようにこれ脱ぐから」


 そういう言うと、いそいそと小さなマント? 的なものを外して丁寧に畳んでテーブルに置いた。


 外気にさらされたその色白い肩をみる。


「……え? それ外れるの?」


「うん? うん、これケープって言うんだけどね」


 ……そうなんだ……知らなかった、こういう系の服じたい詳しくないからな、どうやって着てるのかもいまいち分からない、新発見だ。

 いや、いまはそんなことは置いておこう。


「…………もう、いいか? はじめるぞ? もし痛かったら言ってくれ」


「……ううん、痛くてもがまんする……ていうか痛いはほうがいい…………みつにぃはさ、大丈夫なの? 血、飲むことになるけど、他人の血、見るのもだめだよね?」


「大丈夫だ、安心してくれ、血は最近見慣れてるからな」


 おもに自分の血だけど。


「……うん、わかった」


 ツキは少し頭を傾け、白い首筋を晒す。

 俺はツキの華奢な両肩に手を乗せ、その首筋に自分の口元をゆっくりと寄せていく。


「ドキドキ……」という声が耳元から聞こえてくる。


 ぴとっと、首筋に唇が触れる。一瞬、ツキの身体が強張った。

 小さな脈拍、伝わってくる肌の暖かさはいっそ、やけどする程に熱い。


「……遠慮はいらないからね……来て」


 立てた八重歯に力を入れると、案外あっさりと入り、プツリと、張り詰めた膜を破る感覚、それはさくらんぼを口にした時に皮が破ける感覚に近い。


 息遣いが聞こえなくなっている、ツキは呼吸を止めている。じわっと、感じる血の味。


 ……血、血の、鉄の、味、匂い、血の、血、血、血の、鉄? 血、血だ、真っ赤な血、色黒く鮮血、綺麗な、花、血、咲く花は赤、血の、血、逃れられない血、救われない血、血、血、血、血血血血―――……されど赤くアレ。


「ウ゛、ゲホッ!」


 口から吐き出しそうになった血を慌てて手で押さようとしたが間に合わず、ツキの衣服の上に吐いてしまう。


「みつにぃっ?! 大丈夫!?」


「ご、ごめんツキ、ちょっとむせた、お兄ちゃんちょっとヘタクソみたい、はは……初めてがこんなんでほんと面目ない……服汚れたよな……親族だし鬼人族みたく味はよくないかと思ったんだけど不思議と味はよかったんだよ、蜜のかかったフルーツみたいに甘くて、どれだけでも飲めると――」


「落ち着いて……?」


 やさしく背中をさすられる。

 見える視界は赤く汚れた黒い衣服、俺は、背を丸めて蹲っていた。


「すごく震えてる……時間はあるから、焦らないで……今日はやめてもいいんだよ……?」


「……ぃや、大丈夫だ、もう一回しよう」


「あのね、大丈夫って言ってる人は、ほんとは大丈夫じゃないんだよ、……これはお互いの経験則でしょ……?」


「…………そう、だな…………でも、もう一回チャンスをくれ、次はできる」


「……いっかい……わかった、でも次でだめだったらまた明日にしようね?」


 俺は頷いて、首筋に歯を、もう一度吸血を始める。


「んっ……」


 微かな声、痛くはないだろうか、いや、痛いに決まってる、だから俺もそれに応えなければ、今は過去に振り回されている場合ではない、向き合うべきは目の前の彼女。


 滲み出てくる温かな血を受け入れる、流れ出てくる魔力と共に。

 ごくりと、喉仏の上下する感覚、そのまま喉奥へ、体内へ、数回繰り返す。

 彼女を受け入れ、彼女もまた俺から流れ出る魔力を受け入れる。

 首筋から垂れてきた血は舐めとる。

 一滴も無駄にはしない。

 離しはしない。片時も。


「み、みつにぃ、ちょっとまって」


 視界は赤く、身体は熱く、溢れ出る蜜に夢中になる。


「ちょ、っと、や、っ、はぁ、みつにぃ、とまってっ」


 彼女の肩に乗せた左手を背中から回し右肩へ、右手は後ろ頭に回し抱き寄せる。


 ずっと、この瞬間を、いつまでもこの循環を。


 もっともっと、より強固に、絶対に離れないように、決して見失わないように、亡くしてしまわないように。


 温度を感じれる、温もりも、冷たさも、それは生きている証だから。


 ――再び見つけた君を――今は真っ白なヒトピースを――手に取って確かめて――かちりと、嵌めるんだ――。



 とんとん、と背中を叩かれる感触に気付く。


「……どうした? ツキ?」


「はぁ、はぁ、……み、みつにぃ、吸いすぎ、だよ」


「え? あ、ごめん、夢中になってた」


 途切れ途切れの息を整えるツキ。


「あたしこのままどっかいっちゃうかと思った」


「ごめんな? でももう一回しよう、俺もいっしょにどっかいくから」


 距離を置く彼女に迫って言う。


「え? も、もう無理だよ、うれしいけど」


「でもツキ、眷属化の証は出てきたのか? まだ足りてないんじゃないか?」


「ううん、それはもう出来ると思うよ、なんかお腹の辺りじんじんしてあったかいし、見てみる?」


 そういうと躊躇いなくバッとスカートを持ち上げお腹を見せてきた。

 おいおい……


「……ツキ」


「うん?」


「もう少しゆっくりめに、たくし上げてみてくれ」


「こう?」


 ゆっくりと、徐々に、その厚いベールが下に隠された神秘を見せようと上がっていく、始めに陽光に照らされた肌艶の良い太もも、次にフリルのついた白の下着、最後には、かわいらしいお腹へと、ツキはまじまじと観察される視線に恥ずかしくなったのか、頬を赤くし、そっと目を逸らした。


「やだぁ、なんか恥ずかしくなってきた、俺」


「それあたしのセリフだよ……」


「あっ、ツキ見てみろ、紋様が刻まれ出した」


「え、ほんと?」


 あと俺の腹部辺りも彫刻刀で削られているかのような痛さがある。


 まあ、そんな些細な(痛いよお!)事は気にせず、一緒になってツキのお腹の上に刻まれていく紋様を窺う。


 その青白く輝く紋様は一度完成をみせ、また動きだし、形を変えていく、複雑に、より濃く、深く、強固に、契約の証はその姿を変える。

 まるで生きているかのように蠢いている。

 そんな光景に、心奪われていたら――


「あ、みつにぃはもうみちゃダメ」


「なんでっ!?」


 ツキは背を向け自分だけでその紋様の変容を見始めた。


「ツキさんや、なんで急にそっけなくなっちゃたんだ? ベットで背を向け煙草を吸い始めるのは男の役目なはずだろ? ねえねえ」


「……いち、に、さん……」


 俺の言葉はまったく耳に届いていないのか、なにやら数字を数え始めた。


「ツキさーん?」


「……よん、さん? あれ? これいまどこだろ?」


「……おーい……」


「ねえ! お師匠ー!!」


 入口に駆け出すツキ、俺の情けのない声は行き場を失う。

 廊下を素足で走る音、師匠の手を引きまた戻ってくる。


「ねえねえ、お師匠これ、何段かいめ?」


 俺に見えないように気を払いつつバッとスカートを持ち上げ師匠に聞いている。

 なんで師匠に見せるのはいいのでしょう? 

 ……深くは考えないようにしよう、うん、だってほら、何か言いたくないわけがあるのでしょう、じゃないと俺ちょっと傷心しちゃう、一か月は悩む。いや生涯思い悩む。


「お、コイツは……ちょいと耳貸してみろ」


 師匠はなにやらツキに耳打ちを。


「ほんと!?」


「ああ、間違いねえな、だが珍しい、俺は長く生きてきた方だが、コイツを見たのはそうだな、片手で数えれてしまうぐらいに少ない」


「やった!! ……あ、きえちゃった」


「また見たいなら、また吸血してもらえばいい、その度に確認できるはずだ」


「うん!!」


 嬉しそうに声をあげ俺の元へと戻ってくる。


「なあ、ツキ、なんだったんだ?」


「フヘへへ、ないしょ!」


「そんなぁ……」


 こんなことなら詳しく文献調べておくべきだった、……ちょっとした運命のいたずらだろうか?


「みつにぃの初めて奪っちゃったから皆にあったらしっかりあやまらないとなぁ……あ、でも最後ではないのかあ……」


 えーと、男は女の最初の恋人になりたがり、女は男の最後の恋人になりたがる、オスカー・ワイルドだな、別に恋人になった訳ではないけどたぶんそのことを言っているのかな……


「でもツキ、彼女達は絶対に見つけるけど吸血行為、眷属化をするかはまだ分からないぞ? いやだと言われたらするつもりはないし、だからツキが最初で最後かもしれない」


「ううん、そんなことないから、ぜったい皆にもしてあげて」


 何処か根拠のある様子。何故そこまで言い切れてしまうのかは分からない。


「わかった、じゃあ俺から提案だけはしてみる」


「うん、がんばってね」



 ボレロを着けながらそう言う彼女を俺は見ていた。











✎︎------------------------------------------------




吸血鬼族に伝わる文献引用。

過去犯罪例一部抜粋。


吸血鬼族の吸血方法は5種類と、5段階存在。



其ノ一、


眷属化意志無し、一方的な吸血、効果は魔力の回復、血の渇きを潤すのみ(この吸血方法は御法度)。


其ノ二、


眷属化意志あり、一方的な吸血、無理矢理の眷属化(この場合、隷属化、傀儡化に当たる)する事であり、真の眷属化とは異なり、腹部への紋様は刻まれず少しの再生能力の付与、傀儡化である。

吸血鬼側(主人)の魔力保有量によりこの隷属化の人数、その上限値が決まり隷属を増やす度に必要な魔力量が増えていく。隷属化を直すには新たな主人からの吸血行為、他、吸血鬼本人を殺さなければならずこの吸血方法を行った吸血鬼は指名手配され捕まれば神官により直ちに処刑される、(過去、吸血される側が合意した振りをし、賞金首目当てで指名手配に仕立て上げるグループが度々出現し問題になった為、最近では仲介人を介し合意を取ったという書面上の契約を交わしてでの眷属化も珍しくはない)、(尚、合意、否定の方法は吸血行為を行っている際、相手から流れ込んでくる魔力を受け入れるか反発させるかであり、吸血する側のみ魔力を受け入れた場合に隷属化に至る)。


其ノ三、


眷属化意思なし、合意のもと行う吸血方法、魔力回復、血の渇きを潤す。

又、吸われた側の肌は若々しくなり(女は特に顕著)筋肉はつきやすくなり、(男は特に顕著)寿命が少し延び、魔力保有量が上がる。

眷属化、隷属化を伴わない中間の方法。


其ノ四、


眷属化意志あり、合意の元、眷属側に主人への『愛情』が有れば眷属化へ至り、眷属側の腹部には特有の紋様が刻まれる。互いの魔力保有量が其ノ二より数段上がり吸血鬼側の寿命が伸びる。主に戦闘中に吸血した場合吸血鬼側の思考や視界がクリアになり再生能力アップ、魔力回復及び一時的に戦闘能力がアップする。

 引き換えに思考は冷徹に。


其ノ五、


眷属化意志あり、合意の元、其ノ四の前提条件と、主人側に眷属側への『愛情』がある場合、効果は眷属側に主人とおなじだけの寿命の付与(眷属化人数は主人側の素質により決まる)。

眷属側への再生能力の付与(吸血鬼より性能は下位互換、身体の五割程度の欠損までは完璧に治せる)。

 其ノ四同様、体の何処か、主に腹部へと従属の証として特有の紋様が刻まれる。(主人により形が異なる、其ノ五では『愛情』が深ければ深い程より複雑に変容、第一段階目~第5段階目まであり、第5段階目には主人側に新たなる力の付与が行われ(この新たなる力の付与は眷属側に関連する能力の付与、第一〜第四までは思いの強さによって再び吸血すると段階が上下するが第5段階目は永久不変の絶対の物へ、能力の開花時期は不明)、主人側には身体のどこかに眷属持ちの証として模様が刻まれる。


 証は主人側は常に表面化、眷属側は吸血行為に伴い表面化する。



 他主人へ眷属化の上書きは出来ない。



 跋文、契約の破棄は赦されない。










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