第3話「希望の一滴」中村哲、アフガン最期の言葉    


「偉人」と一言に言うのはとても難しいものです。


 子どもの頃は素直に受け取れていたものが、大人なって知れば知るほど、偉人と言われた人物の影の部分や、また凡人故の嫉妬心のようなものも生まれているのかもしれません。

しかしながら、この方が生きていらっしゃれば、きっと日本人二人目のノーベル平和賞受賞者となっていたのでは無いかと思うのです。


生きていれば


そう、彼が人生を、それこそ、心血を、汗を注いだアフガニスタンで、武装勢力に仲間とともに命を奪われなければ。


 2019年、医療行為、そして15年以上にも及ぶ治水工事でアフガニスタンに農地を回復させた功績により、彼は当時のアフガン政府から「名誉市民権」を授与されます。

その直後の悲劇でした。

「何故? アフガニスタンの人のために地道に活動してきた方を 」

多くの日本人がそう思ったでしょう。

そうなのです、しかしこの非条理こそが今のアフガニスタンの現状を表わしているのです。


 この本の中には偽りのない世界が、日本人が目を背け、耳を塞ぎたくなる現実があります。私も、本当に自分の無知蒙昧を思い知らされました。


そして先日中村医師の叔父である文豪、火野葦平氏の自宅で手を合わせました。


第二次大戦の一兵士の心情を描いた文豪

内線が続き、荒廃した場所を再び農地とした甥の医師

お二人は今天で何を語っていらっしゃるのでしょうか。

これこそ、図書館で出会う名著です。

ぜひご一読を


「希望の 一滴」中村哲、アフガン最期の言葉

2020年12月25日 初版第一刷発行

2020年12月28日 初版第二刷発行


著者 中村哲 

発行者 柴田建哉

発行者 西日本新聞社 


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