第12話 (仮)駅員の日常4

 4日目。


「おはようござい――って、不在?」


 朝駅舎に来て俺がもぬけの殻の状態を見て、頭の上に?マークを浮かべていると、後ろから汐ノ宮さんがやって来た。


「よくあるんです。昨日の午後はどこまで行ったんですかね?多分ずっと走っていたんですよ。だから今日は出てこれないか――もしかしたら帰って来てないかもしれないですね駅長さん」

「単に疲れて休みか」

「そういうことです」


 いつもなら駅長(柴犬)に挨拶をするところだが――今日は駅長(柴犬)がいつも居るところは空席。すると、かわいらしい字で『本日はお休みです』という看板が俺の横から置かれた。置いたのは汐ノ宮さんだ。


「一応ですね。お客さんは来ないと思いますが。もし。があるので」

「まあ空っぽよりかはいいかな」

「でしょ?」


 ちなみにこの看板を作ったのは汐ノ宮さんとのこと。彼女はいろいろ器用らしい。あと、駅舎内の看板は全て汐ノ宮さんがここに来てから作ったと。まあぶっちゃけ。めっちゃ暇。することがほとんどないから。何か作ったりしていないと1日が終わらなかったとか。


「では、今日はお2人に車内清掃をしてもらいましようか」


 汐ノ宮さんと話していると、後ろからペンギンさんがやって来た。手にはバケツと雑巾。箒を持っていた。あの手、いや、翼か?そこでどう持っているのか気になるところだが――そこは触れなくていいな。異世界だもん。


 ということで、本日はペンギンさんと汐ノ宮さんと3人で車内清掃をすることになった。ちなみにここの鉄道の車両はとってもかわいらしい1両編成の木製の電車だ。人が10人も乗れば満員だろうという大きさ。

 そういえば電車に関して触れるのが遅くなったな。ずっと初日から駅に止まっていたのにやっとである。

 って、今も言ったがこの電車木製だった。いや、マジかーだったが。本当に木製。すべてが木で作られていた。すべてが木製。あと、ガラスなどは使われていない。オープンカーというのか。走れば風を受けることが出来るらしい。

 あと、電車に触れたから言っておくが。ペンギンさん曰く。俺と汐ノ宮さんが乗ってもまあ問題はないらしいが。ある程度のところに行くと急にここに戻って来るだろうと言っていた。あれだ。汐ノ宮さんが言っていたが。歩いて行ったら戻って来たと同じ事に電車でもなるだろうとのことだった。

 もちろんなんでそんなことになっているのか。どのような仕組みというのか――なんて言うんだろうな。とりあえず。隣町に人はいけないという現象は何故そんなことになるかわからないが。まあ乗ったところでたどり着かないだろう。みたいな話をしながら掃除は続いたのだった。まあ本当に今日は掃除だけだったな。途中で休憩と言いながら座席で雑談。そうそう、今日はお昼ご飯を車内で食べたな。あれはあれでなかなか良かった。風も抜けていたし。なんか違うところで食べるってのは良かった。


 ということで、今日は車両の清掃を学びましたとさ。基本のんびりしていたが。


 そうそう、ちなみに今日は姿を見せなかったカピバラさんと駅長(柴犬)の2匹は、駅舎隣の日陰で仲良く1日中休んでいましたとさ。

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