第7話 駅長(柴犬)との……出会い?

 さすがに駅舎に入ってすぐに犬がいるとは予想していなかったからめっちゃ驚いた。ホント心臓が止まったかもしれないくらい驚いた。いや、止まったな。数秒止まったかもしれない。あー、俺死んだか。ご臨終だ。一応胸に手を当てると――トクントクン……と普通に動いていた。訂正俺生きてる。


 まあ犬にほえられて死ぬことは――あるかもしれないが。今のところ俺はなく。まあ俺の心臓が再度動いたのかもだが。とりあえず状況確認をすると。駅舎に入ってすぐ。柴犬が居た。ちょうど改札っぽいところの部屋に犬がいた。めっちゃこっち見ているよ。あと、この柴犬。なんか駅員みたいにちゃんと服を着ていた。この鉄道は犬用の制服もあるのかよ。びっくりだわ。

 って、あるか、最近は猫の駅長とかいろいろな駅長が居るとかテレビで見たことがあった気がするし。って、そのこともちょっと置いておいて。

 俺はちょくちょく話が脱線するな。今は現状確認をしたいのに。いや、もしかして、頭のどこかでは、ここの場所がわからず。帰れません。ということを期待して――って、まあいろいろ考えるが。再度、駅舎内を見渡す。幸いなのか。柴犬は1回吠えただけで、今は俺を見ているだけ……睨まれているだけか。なのでゆっくり駅舎内は見れた。

 ここは田舎の駅舎というのだろうか。古い建物だ。そして、駅長室とかわいい字で書かれているところから先ほどの柴犬が俺を見ている。駅長が不在で代わりに飼い犬が居るのだろうか?とか思いながら他も確認する。駅舎へと入って正面にはストーブがあり。ストーブを囲むように長椅子が4つ。そういえばちょうどいい気候だったから忘れていたが。俺は雪の中歩いていたよな。でもここは寒くもない。でもストーブがあるということは……暗くなったら寒くなるのだろうか?またはただ置いてあるだけか?

 その先には、部屋があるみたいでドアがあり。またかわいい字で、休憩室。と書かれていたが。なんか休憩室以外にも小さな文字が書かれている。俺は近寄り小さな文字を確認すると――。


『駅長さん。カピバラさん。ペンギンさん用』

「……」


 この駅の駅長さん動物飼っているのか?っか、可愛い丸文字というのか。誰が書いたのかとっても気になる文字だった。今のところ人の気配が全くないのでね。このドアを開けたら誰か居るとかは――。


 ガチャ。


 なかった。ちゃんと鍵が閉まって――あれ?このドア。ドアの下半分が暖簾みたいになっている。かがんでこの部屋には入らないといけないのか?って、そうか。犬が駅長室。入り口に居るので、その犬用の部屋か。納得。

 まあとにかく、どうやらこの駅はちょっとした動物園らしい。ホント気になるところが多すぎる。っか、カピバラとペンギンって一緒にいるものなのだろうか。っか先ほど吠えられたが、柴犬も居るし。この3匹って一緒に居ていいのか?揉めないのか?うーん。俺にはわからん。さすがにそのような知識はなかった。

 

 そしてドアの前で俺が無駄なことを考えていると、いきなり後ろからだった。今日は驚くことばかりだ。


「ただい……ひゃあっ!?人!?!?人が居る!?」 

「ひっ!?」


 ガタン。


 突然悲鳴のような声が後ろから聞こえてきた。もちろんいきなりなので、お化け屋敷にでもいるかのように、俺はビクッと反応していた。そして見事に近くにあった長椅子に足をぶつけたのだった。痛い。

 ってか、さっきからびっくりしかしていない俺。マジで心臓は大丈夫だろうか?そろそろガチで止まるかもしれない。

 にしても、悲鳴?いや、普通に声が聞こえたので、俺はぶつかった長椅子を元に戻しつつ。声の方向を見ると――これもここの制服だろうか?先程俺が入ってきた場所に柴犬の来ていた制服と同じような色の服。学校の制服と言った方がわかりやすいかもしれないが。ブレザー?みたいな感じの上着にスカート姿の女性。訂正。幼いから女の子の方がいいかもしれない。女の子が驚いた表情をして立って、こちらを見つつ固まっていた。その横では何故かめっちゃ嬉しそうにしている柴犬が居るが――撫でてほしいのだろうか?頭を女の子の方にだが。女の子はそれどころではないらしい。目を見開いて驚いているという感じだった。


 ってか、この女の子。今人が居る事に驚かれなかったか?駅なんだから人が来るのは当たり前ではないだろうか?何故に人が居る事で驚いたのか。そもそも俺的には動物が居る事の方が驚くのだが。

 まさかだが。人が居る事に驚いたということは、ここは人が居ないはずのところ。とかじゃないよな?まさかね。

 でもまあ良かった。女の子が何を言っているのかわかるということは、会話ができるということだ。ここで全く知らない国の言葉とかで話しかけられたらお手上げだからな。俺英語とか苦手で、簡単なのしか話せないし。でも今のところその心配はなさそうで安心したのだった。これでここの場所について聞くことが出来るだろう。

 ってか、話は通じそうだが。女の子まだフリーズしているがちゃんと話せるだろうか?微動だにしないだな。ホント全く動かないで、今も入り口で固まって俺を見ている状況だった。

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