第3話 考えたところでわからない。だからこの場に馴染むことにした。
「よし。もう一度状況整理だ。大丈夫。俺の身体はいつも通りだ。俺はどこでも馴染める。それしか取り柄がない。よしOK。馴染んだ」
草原のど真ん中で叫んだところで何も変わらず。誰か来てくれるということもなかったので、俺はとりあえずその場に座り込んでいた。そして頭の中を整理して、今のこの状況をとりあえず認めた。大自然に俺は居る。わからないが。問題ないと。いや、問題は大ありな気がするが。襲われそうとかないしな。命の危機は感じられないし。慌てて何かしても何か変化があるように思わなかったため。声にちょっと出してから。一息ついてから今日の事を思い出すために目を閉じた。
◆
「……確か先程まで俺は、雪に顔面を攻撃されながら、いつものように大学のキャリア開発部から、大学の最寄駅に向かって夜道を歩いていたはず。大学に行く前は――面接。うん。大丈夫だ。思い出すことは出来る。あとはそのあとだ」
声に出して少し前までの事を思い出す俺。ちゃんと思い出せた。思い出せたのだが――俺の記憶がおかしいのか。今は寒くも無ければ暗くもない。暖かい太陽に大自然。草原のど真ん中。ちなみに服装はスーツのままだった。が。荷物は無くなっていた。確かカバンを持っていたはずなのだが――どこかに置いてきたらしい。だからスマホもないし。身分を証明するものも何もない。スーツのポケットには――何も入ってなかった。
「……マジでここどこだ?大学のキャリア開発部で、いつものようにいろいろ言われて――確か……家に帰る途中雪に降られながら。とにかく寒くて、風も強かったような。あと視界も悪い感じだったはずなんだが…………やっぱりわけわかんねー」
しばらく考えたところで、何故自分がここに居るのかわからなかった俺。あと大学からの帰り道――からこの場にすぐ飛んできた。いや、飛んできたというのか。ワープしたというか。まあわからないからいいか。とりあえず、俺の記憶では帰り道――から草原と記憶が鳴っている。もし記憶が欠落しているなら……帰り道から草原までに何かあったと思うのだが。特に頭が痛いとか。どこか身体を怪我しているとかもない。
やっぱりわからないという結論に至った。
「どうなってるんだよー」
また叫んでおいた。なお、今回も俺が叫んだところで、誰かが現れることもなかった。
とりあえず考えても何もわからなか――いや、わかったことはあるか。
今俺が居る場所はどうやってやって来たのか全くわからない。でも俺の記憶は――多分大丈夫そう。あと、騒いでも誰かが出てくるとかそういう雰囲気はない。大自然。草原のど真ん中に俺はいる。ということはわかっただな。
そんなことを思いつつ俺は立ち上がり周りをぐるっと見てみる。
だが。何もない。ずっと緑っが続いている。建物などは見えず360度大自然。そういえば俺が立っている場所は少し丘になっているのか見晴らしは良い。観光地と言われたら納得は出来そうだが――でも人工物が何もないというのがね。
「そろそろ誰か居てもいいだろ。俺1人になったのか?」
俺は何故に1人でこんなところに居るのだろうか?誰か教えてくれよ。マジで。冷静になってとか思ったがやっぱり無理だ。わからん。誰か教えてくれ!
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