第47話 ムラカラ水軍

「チョウスガメ▪モトチカはモウリ鉄砲隊と流星隊に恐れをなし無条件降伏し、土佐伊予阿波讃岐とさいよあわさぬきの四国は平定致しましたが、ムラカラと言う海賊勢力が健在で瀬戸内海の水路を牛耳って居ります」


 ※瀬戸内海の名称は明治時代決定されたそうですが、それ以前から備前(岡山)と讃岐(香川)間を備讃狭門びさんせとと呼び、淡路島の明石海峡か鳴門海峡より西海を狭門内海せとうちうみと呼んで居たそうです。

 今後の話、村上水軍の安岐(広島)と伊予(愛媛)間を舞台にするため、分かり易く瀬戸内海と呼称します。



 イシキリ奉行のもらい受けの返事を、オウナガ自ら出向いて来て第一声が海賊の話になった。

「海賊の話は兎も角、イシキリ奉行はどうなった?」

「おぅ!イシキリ▪トウミツは自由に使って下され!イヌチヨが派遣した男でぶっちゃけた話、儂は覚えの無い男だ」

「では明日にでも迎えに行く事にする」

「モウリ王、伊勢湾で完成した2号艦、戦艦伊勢を貸し与えて頂けませぬか!」

「戦艦伊勢?いつ名前が付いた?」

「サヨ様の命名です」


 モウリ丸にせよ、鉄砲に流星雷神で武装はしているが商船のつもりだ、蒸気船は全て海外異国との交易商船として造船したはずが、いつから戦闘艦になった?


「ムラカラ海賊は来島くるしま能島のしま因島いんのしま3島に、それぞれ勢力が別れ安岐と伊予海域を封鎖して居って、穏やかな内海を進む事が出来ん」

 九州の大隅おおすみ薩摩さつまに行くには、大回りして四国の南海上外海を行くしか安全航路が無く、戦艦伊勢でムラカラ水軍を鎮圧する必要があるとオウナガは言ってる。


「サヨは今何をしておる?」

 俺は側近のナオに聞いたつもりだったが、答えたのはタイチボウだった。

「サヨ様は戦艦伊勢の操作訓練、淡路島の南に位置する沼島の岩礁目標に流星雷神で海上攻撃訓練を実施されて居ります」


「そうか…キヨは何をしておる?」

「キヨ様は牛馬人力で無く、自走する車の実用化を行われて居られます」

「ん?キヨも…」

 サヨにキヨ、己の得意分野で好きにやって居るな…俺は……


「オウナガ殿、サヨと打合せしてくれ、それからイシキリの配下数名も合わせて召し抱えるが良いか?」

「モウリ王の意のままに!戦に不向きな変な奴ら、今後も何人でもごずいに登用して頂いて構いもうさん」


 蒸気船なら外海を通って、肥前(長崎)に行くのは容易い南蛮人や紅毛人が貿易港にして居る肥前、俺はムラカラとやらの海賊に係わらず肥前に出城を築き……面白いぞ!

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戦国異世界群盗伝 犬時保志 @ysxyz

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