第45話 蒸気船『モウリ丸』浸水式
シチロウは造船技術もしっかり習得していた。
頑固な船大工達も一目置いた、進んだ造船技術を惜しみ無く的確に指導していた。
造船には全く興味が無く、発明がしたかっただけのシチロウは制限なく自由にさせると目覚ましい勢いで巨大蒸気船を造り上げた。
モウリ▪ヨリが殺伐とした戦国の世に、一筋の希望を見出だした蒸気船の浸水式が開かれる紀伊湾に早馬の報せが届いた。
早馬はオウナガ本人だった。
「大殿!中国攻めに続き四国九州勢も攻め滅ぼし、別動隊トクガが
オウナガは、モウリ流星隊、鉄砲隊の全面協力、圧倒的戦力差により破竹の勢いで天下を平定したようだ。
「戦国の世が終ったか…目出度い日に目出度い知らせ!オウナガも共に浸水式を祝え!」
「大殿?浸水式とは、あの巨大船の事で有りますか?」
「そうだ!最新式蒸気船の完成だ!」
シチロウが合図を待って居る。
「浸水始めよ!」
蒸気船を繋いだ綱が断ち切られ、コロの上を蒸気船が進み、見事に海に浮かんだ。
浸水式祝いに振る舞い酒を配り、皆で乾杯をしてシチロウが待ちきれない様にそわそわするので、俺達も乗船し試運転に移った。
湯タンポのオバケの様な機関部のカラクリは、俺にも理解出来る非常に単純な物、あの釜の底で火を燃やせば、海水が沸騰し釜の筒から噴き出し船が進む。
噴き出した海水はもう一本の筒から釜に補充され、熱せられて噴き出すを繰り返し燃やしている火を消さない限り、蒸気船は前進する。
帆船など比べ物にならない速度で突っ走る、との前宣伝を半分に聞いても海上交通に画期的な船の完成に違いは無いだろう。
紀伊湾に浮かぶ『モウリ丸』に見物人から歓声が上がってる。
「出航!!」
俺の合図を待って居たように、力強くモウリ丸が波を蹴った。
「おっ?速いな!」
モウリ丸は海の上とは思えない速度で進んだ。
同型の蒸気船は3艘建造中、海の向こう大陸と交易する日も近いだろう。
ヨリは交易と思って居るが、勢いに乗ったオウナガ達は海の向こう大陸を制覇侵攻を始める心積もりで海を眺めて居た。
蒸気船の噂は留まる事を知らないように、モウリ王国を飛び出し辺りの国々に広まって行った。
モウリ王国に行けば、仕官を許され自由に実験開発させて貰える!蒸気船は、更なる奇人変人達の
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