第42話 何じゃ!!こりゃぁ!!!

 砦に近付くと、鬼の遠吠えの如く大音響の異音が止まる事無く

 ウ"ウ"ォウ"ォーーーーンと鳴響いていた。


 異音のもとに近付いて行った。

「な、何じゃ!!こりゃぁ!!!」

 長方形の鉄箱お尻の上側に細い筒、下側には太い筒筒の先端はラッパ状に広がっている。

 そのラッパの先端から異音と共に火炎が止まる事無く噴出していた。

 よく見ると噴出する火炎は一定で無く、ウ"ォンウ"ォンと息打つ様に噴出してる。

 もっと観察すると、火を噴く装置は飛び去ら無いよう、頑丈な鉄枠に固定され、鉄枠の6本の太い支柱は深く地中に埋められて居る。

 火炎噴射の為ぱっと見巨大に見えたが、装置本体は2㍍位だった。


『流星』や『雷神』が飛ぶのを見慣れているナオとサルトビは、異音を五月蝿うるさそうにするだけで、火薬と燃える水の違いにさほど気にする素振りは無かったが、タイチボウは驚き固まっていた。

 自分達ネゴロ衆が見付け報告した燃える水が、加工され何やら得体の知れない火炎を噴出する物に変わり目の前にある。

 採掘される越後や出羽でも燃えると非常に臭い燃える水は不要の物扱い、夜間照明には菜種油か魚油が使われ裕福な者は蝋燭を使用している。

 そんな使い途の無い物が、凄く格好良い物に成り目の前にある!!

 男のロマンを刺激され、ワクワクウキウキするタイチボウだった。


 俺を見付けた様で、男が駆け寄って来た。

「大殿!よくお出で下さった!私は『飛行装置天空壱』の開発責任者サブロで御座います!」

「サブロ?『流星』開発のあのサブロか?」

「はいっ!お久し振りです大殿!飢え死に寸前だった私達を取り立てて下さって御恩に報いました」

「サブロ!『飛行装置天空壱』とは凄まじい物を開発したものだ!天晴れである!!」

「大殿、驚くのはまだ早いですぞ!『天空壱』の実験は目眩まし!これから御案内する製造工場で造られた物を見たら腰を抜かされますぞ!」


(何だ?この異様に期待を持たせる煽り方は)

 モウリ城下にある巨大な土蔵と同じ様な建物に案内された。

 厳重な巨大な鉄扉が開かれ、俺達が招き入れられた。

 土蔵の内部は巨大な土蔵が建ち並び、その工場郡の一棟に案内された。


「な、何じゃ!!こりゃぁ!!!」

 ヨリ本日二度目の絶叫だった。


 ウリモ▪コブにゴンゾ、シラガ▪ゲンにウタ▪コウキチ、カラクリ▪イエモンにトビ▪カトウ、彼等の弟子達に作業者がずらり整列し俺達を迎える奥に異形の物が置かれていた。

「ヨリ姉様!お久し振りで御座います!」

「おぅ?キヨ坊大きくなったな!」

 形式的にモウリ砦の責任者に置いておる、末の異母妹キヨが嬉しそうに飛び付いて来た。


 何と表現すれば良いか……鉄で組み立てられた巨大な鳥の様な物?が目の前にデェンと鎮座ましまして……

 シラガの説明で「あぁ鉄では無い?もっと軽く頑丈なアルミ合金?ね…」かみなりで精製したアルミに銅や聞いた事の無い金属を混ぜて造ったと説明されても、理解出来んぞ?

「ヨリ姉様!機体の試行錯誤も是非聞いてやって下さい!模型実験を繰り返し、横に伸びた翼では高速飛行の風圧に絶えれず、結果三角翼になり……」

(キヨ坊ってこんなに頭良かった?)

 三姉妹の最年少と言う事もあり、今一シャキッとしなかったキヨ坊だったが、鬼才達による英才教育の成果なのだろう、俺にはさっぱり理解出来ん事をスラスラ説明しておる。

「それでね!ついに飛行実験に漕ぎ着け当然操縦士は実際自力で何度も飛行実積のあるトビ▪カトウが担当、万が一機体制御不能になっても自力で機体から飛び出し帰還出来る…」

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