第41話 建設的なこと【1】

 オウナガが越後スギ氏討伐に踏み切るそうだ。

 スギ▪ケンシンの居城、春日山城を今回も犬伏城直峰城等多数の枝城を無視して、圧倒的破壊力で一気にケンシンを討つ。


 最近重用されている、マエダ▪イヌチヨが使者となり、当然モウリ精鋭隊に参加要請の御伺いが届いた。

 一気に落城させる為には流星隊の『雷神』は必須、要請は頷けるし我が精鋭隊不在ではなし得ないだろう。

 しかし俺は戦いに興味が全く無くなった。

 精鋭を引き連れ指示を出すくらいは容易く出来るが、腑抜けた総大将では皆に済まん気がする。

 集中力に欠けていると、詰まらん事で大敗命を落とすやも知れぬ。


 ……臆病風に取り付かれた、そうだよ!俺は恐いんだ…恐怖に立ち向かうより逃げれば良い、当たり前の事だ。

 モモチみたいな奴との死闘は二度と御免だ!!


 殺し殺されより建設的な事をして過ごすぞ!コブ達に会いに行こう!!


 火薬兵器隊だけで無くシラガ▪ゲンの成果、遠くに正確に確実に投げる事に特化訓練させた『火炎ビン』隊も新設しモウリ精鋭隊の強化もした。

 サヨを呼び出し、全てを一任する旨を伝え了承を得た。



 いつもの御付き、ナオにサルトビ、それにナカツ城を任せている、ネゴロ▪タイチボウが是非にと着いて来る事になった。

 タイチボウの働きで、鳥人コウキチやシラガ、イエモンを仕官させる事が出来た。

 何の為に奇人変人情報を集めさせたか、天才集団の集大成を見せるのも良いかとの思いから同行を許した。


 モウリ王国では僧兵は認めない、寺は僧侶坊さんが運営する所、僧兵サイカ衆は滅ぼしたが、元僧兵サイカ系オオタ衆やネゴロ衆は武士に登用して居る。

 居城はオオタ城、ナカツ城である。


 マルコ達鬼は、道中で見付けた薬草で製薬に夢中で、凄い効果の新薬を期待して置いて行く事にした。



 あわてる旅では無い、のんびりモウリ王国の視察も兼ねて10日掛けモウリ城に到着。

 モウリ城下町一帯はモウリ王国玄関口として、貧農村は全て無くなり物凄く賑わう広大で豊かな街並みになっていた。

 モウリ城はモリ▪ハンベを城主として居城させている。

「大殿!お待ちして居りました」

「ハンベ物凄く広大な城下街になったな」

「城下の案内は後回しにされて、モウリ砦でコブ達が大殿の到着を待ち望んで居りますぞ!」

「モウリ砦?何か新兵器の発射実験か?」

「無学な儂では意味が解り申さんが、火薬で飛ばすので無く燃える水で飛ばす実験とかで、大判100枚程既に使っておる様子」

「開発にさいし金は遠慮無く使えと言っておる、燃える水が『火炎ビン』以外に使える?火薬の代わり?面白い!!」


 折角建てた城っぽい砦、ゴゴ城は殆ど住む事無く移城したが、現在無人は論外なので末の異母妹10歳のキヨが城主でタキさん達女衆と、はざま山砦の甲賀忍軍700人の内、常時2~30人が持ち回りで守ってくれてる。

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