第33話 マルコの必薬『反魂丹』
薬だけ受け取って、大殿には私が服用させようと思ったが、マルコが
「患者の状態を検診し調薬しなければなりません、危険な状態の患者に薬だけ渡す事は出来ません」
と頑固に言うので、ヨリ大殿の寝室に通した。
「誰か襖を開けよ!サヨが薬師を連れて来た!大殿の診察させるが容態はどうだ!」
寝室の
「サヨ様、いまだ大殿の意識ははっきりしない様子です」
襖を開けながら、小声で伝えたナオは隣に控えるマルコを見て悲鳴をあげかけ、自分で口を抑えて声をころした。
「サヨ様?そちらが薬師殿で御座いますか?」
紅毛人(オランダ人)はシーボルトの様に、九州の長崎辺りで弟子に医学指導するのが普通で、コウモウ▪マルコは医学も優れて居たが、調薬に関しもっと進んだ知識を持っていて、薬草薬材を求めどんどん日本の奥に進みついにエッチュウにまでたどり着き、戦乱がなければ富山の薬売りの始祖になっていたかも知れない男だった。
富山の薬で有名な、
マルコはヨリの容態を一目見て言った。
「この患者は即効性の毒だけで無く、遅効性の弱い毒にも侵されて居ます!萬金丹で無く反魂丹を投薬します」
と言いながら持参の薬カバンを開き、黒い丸薬と黄色い液体の入ったガラスビンを取り出した。
医療用と思われる短刀をサヨに渡し。
「もし失敗する様な事があれば、この短刀で私の首を刺しなさい!!私は命を賭けて治療にあたります!以後口出し無きよう願います!!集中します!」
マルコは大殿の掛布とんを剥ぎ
体重を確認している。
丸薬を二粒と半分用意して、黄色い液体を目盛り3湯呑みに注ぎ入れた。
マルコは、大殿の上半身を左手で起こし「ヨリ様!!チョットで良い起きて下さい!!」
大殿の頬を叩きながら言ってる。
耳元の声掛けとペチペチ頬を叩かれ、大殿が目を開け異形の男を見詰めている。
「起きましたね!では、これを全て飲み込んで下さい」
マルコは、大殿の口に二錠半の丸薬を素早く入れ、湯呑みの薬液を口に少しずつ含ませた。
大殿は少しの間、マルコが魔術をかけた様に意識が戻っていて、コクコク薬を飲み干した。
マルコは無事投薬を終え、大殿の寝姿を整え掛け布団を掛け戻して。
「緊急事態とは申せ、数々のご無礼申し訳在りませんでした!!」
大殿に対し、深々と謝罪のお辞儀をしていた。
「私の命を救ってくれたようだが、お前は何者だ!」
畳に額を擦り付け謝罪してるマルコに、大殿が問い掛けた。
ヨリ様のどす黒くなっていた顔色に朱がさし、健康そうな血色に戻られていた。
驚くべき薬効であった。
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